第124話 コケッコトレイン


とりあえず地引き網はやめさせといて、グレイの釣った魚は佐藤や三井にも分けることになった。



湖から道に戻る途中で、三井が色々と佐藤に聞いてる。


「でも、何で政府のお試し系実験で面白半分に海と川の魚をごちゃ混ぜに放流したってことになってるんですか?」


「実際にそういう実験はやっとったらしいのや、でも動物はモンスターに食われるし、植物はなんや変異しよるしで失敗続きやったんやて」


おい?まさか枝豆とか小麦とかそれの名残か?


「せやのに酔っぱらいがやった魚が地味に成功したもんやから、政府の研究者のプライド傷ついたんか知らんけど、失敗しろって感じで他の種類を放流しだしたんやな、そしたらそれも普通に生きとるし、なんなら普通に繁殖し始めたんで、いじけてなぁ?」


「えぇぇ……?」


「大々的に広めるでもなくギルドの資料に記載するだけにして、実験は終わったんやて」


「メンタル弱っ!?」


「うちのじい様が酔っぱらう度に話してばあ様に叱られてるんよ」


「ダンジョン初期は迷走してたって本当なんだねぇ」


知らなかった裏話を聞いて学生2人は感心してる。


「キュー?」


「ヤクシ先輩が、そろそろ道だけど銀が居なくないか?と」


「あ、ギーン!」


三井忘れてた!?


何か遠くから走ってくる音がする!


「ミロクの耳がピクピクしてるね、あっちかな?」


「銀ってなんや?」


「三井様のテイムモンスターのルナウルフです」


なんか嫌な予感するからグレイの頭に避難だ!


「わん!」


『『『『コケェェッ!!』』』』



「トレインしとるやないかボケェッ!」


土埃でよく見えないけど道ぎゅうぎゅうな鶏の大群に、佐藤が素早く弓を構えて一気に3本の矢を射った。


「うにゃ」


「ド頭ぶち抜いた。だそうだ」


「んなもんわかっとるわっ!」


流石弓の人だな!


「銀!何やってんだ!魔法使って攻撃!」


「わぅっ!」


おい、そうだった!とか言ってるぞ?魔法使えるの忘れるとかある?


「僕前に出ますね」


『仕方ないなー』


「キュー」


「マスター下りて」


「うにゃ」


土埃つくからやだよ、そのまま行け。


グレイがやれやれしながら素早く移動して大剣で鶏を真っ二つにしていく。


ご主人もヤクシやマリモちゃんにフォローされながら乱戦の練習だ。


「鶏って道の真ん中に居るだけ以上に数居るの!?」


三井がバフとか回復とかやりながら叫んでる。


まぁ明らかに通常進んだ時の倍以上の数が集まってるからな。


む?高村から連絡来たな。えーと……


「うにゃにゃにゃぁ」


「ヒヨコを倒すと鶏が大量発生して仕返しにくる現象が以前一件だけ報告されているらしい。とマスターが高村より連絡を受けた」


「うにゃにゃ」


「その一件以降ヒヨコを確認した人が居ないので信憑性が無いと判断されてギルド資料にも載せてません。だそうだ」


レア現象だった。


「銀!ヒヨコ倒した!?」


「わふんっ?」


「ヒヨコって何って言ってる!」


「黄色いの!」


「わん!」


「食べた!って言ってる!」


三井と銀と通訳ご主人で面白いことになってる。


「猫に会う時なんかしら事件おきるのなんなん!?」


……そういやそうだな?ジーッと。


「うにゃ」


「佐藤にユニーク生えてる。らしい」


「なんやて!?……ツッコミが必要だ!ってなんやねん!」


チラッと免許証確認して、ツッコミと同時にスキル発動して矢の雨を降らせた佐藤。


佐藤のくせにカッコいい技もってるな!


「うにゃ」


「了解、そろそろ颯人様の体力が怪しいのでマスターが介入する!」


「うへぇ……バレてるぅ…」


ご主人が下がって俺は土魔法で地面から棘を生やして一気に鶏達を串刺しにした。


討ちもらしはヤクシとマリモちゃんが魔法で倒す………銀?何でお前下がった?


まぁ銀は三井のだし、良いや。


「うにゃん」


「終わり。だそうだ」


地面にはドロップがゴロゴロ……これ、拾うの?


グレイがホウキとチリトリ出して集め始めたな。


「こういう時、肉とかは謎ラップされてるのありがたいよねぇ」


「あれ見ての第一声がそれでええんか?」



佐藤、ご主人は真面目に言ってるんだ。ご主人はそれで良いんだ。


「銀、お前の牙も爪も飾りじゃないだろ?魔力切れたらそっちで戦うんだぞ?」


「わふっ!?」


交代じゃなかったの!?って言ってるなぁ?


「そうや、テイマーの三井やったか?お前ちゃんと指示したらなアカンて、そこの猫たちを参考にしたらあかん、普通のテイマーはもっと細かにコマンド教えて指示だししとるんやで」


「……俺の親父がテイマーで、親父に教わってたんですけど、違うんすか?」


「……お前上級テイマー三井さんの息子か?」


「ッス」


「参考にしたらあかん!ユニーク持ちやぞ!?普通のテイマーとは仕様がちゃうねん!」


三井がめっちゃガビーンってなってる!てか三井が意外と探索者エリートな件。


「テイマーは個人個人でやり方が違うから学校じゃ基礎しかやらないんだよねぇ」


まぁ早い段階でわかって良かったじゃないか、今度から三井へのお礼はにゃーるじゃなくて知能が上がる魔石だな。

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