第119話 ご主人の誕生日
グレイは良く働くなぁと思いながらソファーに座りながらテレビを見ている。
腹丸出しの後ろ足伸ばしーのな疲れたオヤジスタイルである。
なんというか、普通に楽な体勢なんだこれが。背中というか肩?らへんを背もたれに預けて体をだらんと投げ出す姿勢が意外とフィットするのだ。
因みにテレビはアニメの再放送だ。世界が違っても文化が変わらないのは良いよな。
テレビといえば夏休み中盤でダンジョン発生から50年特番とかいうのがあって、ご主人はこれを見て感想文的なものを書かないといけないとか言ってた。
ただの感想じゃなくて、当時の対応に対して今の自分たちならどういった対策をとったか、等も考えなきゃいけないらしい。
これ、普通に小ダンジョンでレベル上げしてからダンジョンに行くとかじゃだめなのかな?
ご主人は難しいよねって言ってた。
むっ!ご主人の足音だ。
「うにゃ」
グレイに声かけて玄関で待機。
「ただいまー」
「にゃぁ」
お帰りー。
「お帰り、とりあえず風呂いってこい」
グレイがご主人の荷物を受け取って、回復の水を渡してから風呂に誘導した。
「えぇ?あ、うん」
ご主人、戸惑いつつも素直に風呂に入る。
リビングは飾り付けしてあるからな、グレイが頑張った。
俺?レシピに面白いの見つけたから、それ作ってたよ?
ご主人が風呂から出る前に、料理を並べるグレイ。ヤクシがお手伝いでコップ運んでる。
何故かテーブルの真ん中には花じゃなくて、マリモちゃんの鉢が置かれてるけど準備は整った。
「お風呂貰いまし……わぁ」
「うにゃにゃにゃぁん!」
「キュー!」
『おめおめー』
「お誕生日おめでとう」
……クラッカーは、俺のお耳に配慮して無しです。
「ありがとう!」
「うにゃ」
これ高村から。
「ありがとう、お礼言っとく」
「とりあえず食べてくれ、ちょっと豪華にしてみたが好みがわからなかったので不安だ」
「にゃぁん」
「キュー」
『お水ー』
マリモちゃん……ご主人は笑ってマリモちゃんに水を吹き掛けた。
まぁ、俺達が食べようって言ったからなんだけどな。
因みに、俺達にも肉と魚のトッピングがあって豪華だ。
「凄い、肉だ。ところでこの唐揚げって普通の鶏肉だよね?」
「にゃぁん」
ご主人、まだカエル肉引きずってるのか。
「普通の鶏肉だ」
「なら安心だ、ダンジョンレシピだからいろんな肉使った疑いがあってねぇ」
「にゃうん」
美味しければ問題無い。
「基本的にレシピは一般的な料理レシピと変わらないので他の肉は使う予定が無い」
グレイの言葉でご主人は安心したようだ。
というか、ご主人が普通の男子高校生バリに肉食ってるの初めて見たな。ご主人に料理仕込んだのお祖母さんだから、年齢的に油っこいものや重い肉系は少なく栄養バランスの良い食事してたみたいで、ご主人が作るものもそんな感じだ。
グレイの作る料理が栄養バランス悪いってことじゃないんだけどな……?
「こういうの自分じゃ作らないけど美味しいね」
スペアリブかじってるご主人が珍し過ぎて笑う。
大変満足した顔のご主人、そろそろケーキだぞ?
グレイが空いた皿を流しに持って行きつつケーキを持ってきた。王道のショートケーキかと思いきやフルーツタルトだった。
俺には見た目デザートチーズみたいなの。スンスン…ヨーグルトっぽい匂い。
「ケーキまで作ってくれたの?」
まぁ、ケーキの形が猫の顔型なので既製品ではないよな。
ご主人めっちゃスマホで写真撮ってる。俺のケーキまで撮ってる。
満足したらしいので食べる。ペロペロうむ、美味しいな!チーズというかヨーグルトというか、とにかくお菓子だ!魔石じゃない正真正銘のスイーツだ!久々!
ご主人も美味しいって喜んでる。
「うにゃぁ!」
良い仕事したなグレイ!
「ふふん」
凄い得意気に笑いよった、これがグレイの喜びの表現なんだろうか?ドヤ顔もイケメンで、俺が人間だったらイラッとしてるところだ。
だが俺は自他共に認める美猫だし、猫は猫というだけで可愛いからな。イケメンなど足元にも及ばないから寛大な心でスルーしてあげるのだ!
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