第117話 稼ぐ理由と小ダンジョン



家から近くの小ダンジョンまでの間には野良猫が居る。


「マスター猫だ」


「にゃー?」


俺は猫だが?


「違う、猫が居る」


「キュー」


近所の猫さんだよね、と一応存在だけはヤクシも知っている。


「うにゃにゃにゃぁん」


難しくて正式なの忘れたけど、タマナイナイレボリューション活動っていう殺処分される猫を減らす活動で避妊手術されてる猫だ。地域猫活動ともいう。


「それは難しい活動だな」


「うにゃにゃ」


猫としての俺は複雑だけど、あいつら野良だから飯と縄張りのことしか考えてないぞ。そもそも人に比べてそこまで頭良くない。


人間が怖いやつも居るが、ここらの猫は人間に甘えりゃなんか貰えると思ってるのは黙っとこう。猫の世間話聞いたご主人が苦笑いしてたしな!


「うにゃ」


金が貯まったら土地買って猫広場作るのも良いよな。


世話は普通のドールにして貰えばいいし。


「マスター、稼ごう。高村様を巻き込めばいけそうだ」


「うにゃにゃ」


いや、俺はご主人の叔父で感覚バグってたけど多分高村も動物逃げられ系だ。


「確かに隠しきれない強者感がある」


「キュー?」


僕が平気なら平気じゃないの?ってヤクシは言うけど、お前は俺が紹介すれば仲良くはしてくれるだろうけど、おっさんたちは紹介する前に逃げられるんだよ。


そう説明するとヤクシは納得した。


因みにヤクシもマリモちゃんも奴等の威圧感はスルーだ。生物的強者は強い。


「地道に稼ごう、なんならマスターが錬金術でアイテム作って売れば稼げる」


……そうかも?ヤクシの抜け毛布とかオークションで売れそう。


頑張ろう。


「キュー!」


あったよ!と小ダンジョンを見つけて入る……グレイでかすぎでは?


「きっつ」


「うにゃ?」


四つん這いのほうが楽では?


「そうだな」


躊躇わず四つん這いで進むグレイは、生理的嫌悪感が無いので虫とか普通に手で潰してた。


モヤって消えるとしてもデカイ虫を素手で潰せるのは強い。


まぁ、さすがに四つん這いでゴブリンは…と思ったら、コイツ魔法も使えたわ。


そういや書いてあったなぁ、今んとこフェアリー成分が影薄めだから忘れてた。


「マスター、職業どれにする?」


「うにゃ!?」


お前職業選択出来んの!?


「ドールなので」


え、普通のことなの?スマホで錬金術ドールで検索………そんな情報無い。


「うにゃ?」


グレイだけの特別?


「いや、普通にドールは職業設定できるはず……じゃないと錬金術師の戦闘力が低くて素材採取が厳しいだろ」


……グレイ、人間はパーティー推奨だし金があれば素材買えるんだ。


「ドールとしての基礎知識によれば、錬金術師がドールと戦闘ばかりやれば人形師とかの派生が出てくるはずなんだが」


「うにゃ!」


グレイはネットでギルドホームページ見て書いてないことで知ってることがあったら高村に連絡!


「ダンジョンからのドールとして必要な基礎知識だから知ってることが偏っているが?」


「……うにゃ」


…最近になって小ダンジョンを活用することを知った感じだからいいんだ。


「キュー」


皆結構知らないこと多いよねってヤクシが言ってる……ヤクシというよりマリモちゃんは色々知ってそうだけど黙ってるから、何が出てくるかわからない恐怖で触れられない。


ドールとしてのって言うからには錬金術関連だろうし、被害は小さく済むはずだ。



因みにグレイは戦士にしときました。大剣とかブンブン振り回すのがカッコいいと思って決めた。


決して宝箱から良さげな大剣が出たからではない。ないったらないのだ。

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