第116話 スーパーにグレイは目立つ
とりあえずやらなきゃいけないことは終わった。
「あ、これ颯人君に渡してもらえますか?」
ラッピングしてある袋を渡された。
「今日は仕事お休みなんで、これ以上は他の職員の手前休まないといけません。颯人君に会えそうも無いですし、宅配よりミロク君に渡したほうが確実ですからお願いします」
……そうだな、高村にも休暇は必要だもんな。ずっとギルドに居るのかと思ってたけどちゃんと休みあるんだな。
「うにゃ!」
「渡しておきます」
グレイが受け取ったのをストレージにポイポイ。
そのまま一緒にギルドを出て、高村はダンジョン行くって別れた。
「キュッキュー!」
またリュックに入れられたが、ヤクシはスーパー初めてー!とはしゃいでる。
スーパーの何が楽しみなのかさっぱりだ。
「ところで、颯人様のお好きなケーキはなんだろうか?」
「うにゃ」
ご主人はケーキとか買わないからわからない。
でもテレビで見るスイーツ系は美味しそうとか言ってたから何でも食べるだろ。
「なるほど、では小さめに複数作るか、猫も人も食べられるケーキレシピもあるので材料があればそちらにしよう」
ダンジョンさんレシピ凄いな?
「キュ?」
「普通のスーパーに有るかは不明」
材料がスーパーにあるかわからないって、まさかドロップ品を使うのか?
「……普通の食材をマスターが錬金術で変化させれば良いとの追加情報」
どこから追加されたんだ……いや、言わなくていい怖いから。
「キュ!」
なら大丈夫だね!ってノンキなヤクシがうらやましい。
通行人には二度見されまくったグレイだが、視線は気にならないようだ。
家の近くのスーパーに到着。
買い物かごが似合わないなぁコイツ。執事服でピシッとした格好だからスーパーに浮いてる。
今度ラフな普段着も追加してやろう。
「ついでに野菜も買おう、肉類は鶏肉が大量に入っていたが……誕生日なのでスペアリブにしよう」
「キュ!」
凄い骨が付いた肉だ!ってヤクシが喜んでる。
「うにゃ」
ご主人は1人だと揚げ物面倒とか言ってたから揚げ物も。
「夏野菜の天ぷらを作る」
足りない調味料もかごに入れていくグレイに迷いはない。
お菓子作る系の棚でも迷いなく、バターに生クリームにといっぱいだ。
ついでに果物類も買ってた。
俺は前世でも菓子なんて作ったこと無いからお任せだ。はしゃぐヤクシを尻尾でぺしぺししながらリュックでだらんとしてる。
会計のとき、体内収納からエコバッグを取り出したグレイは、セルフレジに入ってピッピッピッピッ高速でレジを通してる。
「マスター、支払いを」
「にゃぁん」
開いたリュックから頭を出して、首輪についてる探索者免許をレジにピッとした。
こういうのも読み取ってくれるのはダンジョンのある世界ならではだよなぁ。
まだまだ現金も使う人いるけど、殆ど探索者免許で済むらしい。
それでも無くならない確定申告。ご主人が苦労する前に政府はどうにかしてくれんかな?
「帰りますよ」
ハッ!つい愚痴が出た。今は猫なんだから気にしないぞ!
荷物はストレージに入れて、帰り道を歩くグレイに聞いてみた。
「にゃぁん?」
ご主人喜ぶかなぁ?
「俺は颯人様じゃないので返答できません」
「……うにゃにゃ」
そういう時は、きっと喜んでくれるよとか言うもんなの。
「…なんとなく学習しました」
うむ。
「キュー、キュキュッ!」
人間の情緒難しいよねってヤクシがグレイを労ってるが、そのあとにアニメやネットで学ぶと良いよ!って言ってる。
マリモちゃんが興味を示さなかったので、一緒にアニメを楽しむ仲間が欲しかったようだ。
「教えてもらってありがとうございますヤクシ先輩、俺も見させてもらいます」
マリモちゃんが後輩って感じじゃなかったので、グレイの出現に一番はしゃいでるのはヤクシかもしれないな。
「キュー!」
サダ子さんが面白いから見ようね!って、ヤクシ?情緒は?
……あんなキラキラしてるヤクシにホラーはやめなさいとは、言えなかった。
すまん、グレイ。
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