第115話 間違ったことは言ってない


ご主人は三井たちとダンジョン行くらしいのでグレイが朝早くからお弁当作って渡してた。


お祖母さん以来の他人から作ってもらった弁当になんだか嬉しそうだったので、グレイは良い仕事した。


にゃーるをやろう。


「食い物は魔力変換するっていっても猫用のおやつをもらう意味がわからない」


「にゃにゃぁん」


猫があげる最上位ご褒美がにゃーるだ。ご主人の為に良い仕事したからあげる。


「お出かけの時は今後も用意する予定だから今回だけにしてほしい、俺は猫ではないのでにゃーるはご褒美ではない」



グレイってば、さすがに情緒的なことは不得意っぽいな?まぁ、これから学習すればいいな。


「うにゃ」


グレイ、本日はご主人の誕生日なのでケーキを買うか、作るぞ。


「……無駄に道具だけは揃ってるキッチンなので作成は可能だが、買い物しなきゃ駄目だな」


「キュー!」


ヤクシ、スーパー行きたい!だって。


『マリモちゃんはダンジョン以外はパスでーす』


マリモちゃんは光合成を楽しむらしい。


「うにゃにゃ」


グレイ連れて小ダンジョンには行くよ。


『小ダンジョンなら行かなーい』


というわけで、俺とヤクシをキャリーリュックに入れたグレイが飛んでギルドに到着。


ギルドに入ったら、皆がグレイの髪を二度見した。


「牛柄?」


「イケメンなのに牛柄…」


ぼそぼそと聞こえてくる呟きに、やっぱり面倒がらずに髪色も変えときゃ良かったとちょっぴり後悔。


グレイが並んで、受付の順番が来て一言。


「俺のドール登録をお願いする、マスターはミロク様だ」


「……?」


受付さんがめっちゃ首傾げてる。まぁ、グレイは見た目は人だから仕方ない。


「はいはい!グレイもミロク君も私の部屋に来ましょうね!」


パンパンと手を叩いて気を引いた高村がにこやかに叫んだ。やっぱりグレイの存在を広めるのまずかったかぁ。


「うにゃ」


「マスターが言うなら」


何故?と首を傾げてたグレイに、行くよって指示を出して高村の部屋に入った。


「ミロク君?」


「うにゃ、にゃぁん」


「グレイにインプットされた常識がどんなもんか確認したかった。と伝えてくれだそうです」


「つまり、登録は受付でするとはわかってるが、情報を秘匿しなきゃいけないってことはわかってないってことでしょうか?」


「キュー」


「自分が秘匿されなきゃいけないレベルだとはわかってないんだよ、とヤクシ先輩が言ってます」


俺は気にせずグレイの鑑定書を高村に渡す………そろそろ出してくんねぇかな?


「にゃ」


「失礼しました、今開けます」


グレイがリュックを開けてくれたので、外に出て高村に鑑定書を渡した。


「レア度ユニークですかぁ、ユニークスキル持ちがダンジョンの宝箱でレア度ユニークの武器をもらうことはありますが、錬金術でレア度ユニークは初ですね」


「キュキュー」


「ご主人が誕生日だからダンジョンが忖度した可能が微レ存、とヤクシ先輩が言ってます……俺も否定はしません。ダンジョンは猫のマスターに目を付けてます」


「……うにゃ」


そんな気はした。


高村はグレイの性能に頭を抱えてたけど、ふっ切れた笑顔でドール登録の書類をグレイに渡した。


「悩むのは世の錬金術師に任せましょう」


しれっと鑑定書の写真撮って、グレイの写真も撮って、グレイに昨日の動画の猫語翻訳テロップを入力してもらって、写真と合わせて動画を公開した。


そのあとちゃんとドール登録できた。


ドールの場合はマスターとドールの名前が書いてあるネームプレートを服に付ける義務があるらしい。


でも、マスター:ミロク(猫)って猫を入れる必要あったのか?


「小首傾げて可愛いですね、実は魔女の家ダンジョン以外の錬金術関係ダンジョンには動物ドールも居るんです」


あー、成る程。


「うにゃ」


ペコッとお辞儀しといた。


「いえいえ、ところでミロク君にお願いなんですが、装備チェンジの腕輪を作ってもらいたいです」


装備品と腕輪、そして料金はこちらでとすんごい額見せられた。


「うにゃ」


「高村には迷惑かけてるからサービス、だそうです」


ストレージから出した錬金釜にポイポイっと入れて、出来た。


何故か白っぽい金属にキャッツアイの宝石が付いた腕輪に見た目が変わってるが、成功した。


「キュー」


そういえば高村さんもユニーク保持者。ってヤクシが言った。


「推しグッズです!」


「……なんとなく学習しました」


「うにゃ!?」


グレイ!?何を学習したの!?

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