第104話 祭りの後の虚しさ


はい!やって来ました魔女の家ダンジョン!


屋根跳んで行ったらめっちゃ早かった。



改札通って中に入ると、ダンジョンのなかは洋館の廊下風で、所々にドアが付いてて中を探索出来るらしい。


しっかし、ドアが丸ノブなんだが?プリチーな肉球お手々で丸ノブが開けられるか?


……マリモちゃんが普通に開けられた。


因みに俺とヤクシもちょっと頑張れば開けられたが、時間がかかる。


せっかくだからドアで大きなサイズ爪研ぎしとこう!


バキバキッベキッガガガガッ!


「うにゃ!」


ダイナミックお邪魔します!


『穴開けるのはー爪研ぎって言うのー?』


「キュー」


ヤクシが出入りできるくらいの穴が開いたけど気にしない。


部屋の中はゲストルームみたいな感じで、物は少ない。


メイド服着てハタキを持ったのっぺらぼう人形が居たんだけど、ダイナミックお邪魔しますしたら、何してくれてんだコイツ!?みたいな雰囲気出してた。


のっぺらぼうなのに感情表現出来るとか、強い。戦闘力じゃなくてキャラが強い。


戦闘に関しては、でっかいままぺしーんてしたら壊れちゃったから、ちょっと脆いかもしれない。


ドロップは魔石と箒だったけど、箒は何処から来た?


別な部屋では入ろうとした途端に床が消えてトゲトゲに変わったりしたけど、咄嗟にジャンプしてトゲトゲに落ちた机の上に着地した。


廊下途中の燭台から火球が飛んできた時は、ヤクシが尻尾アタックでカウンター決めてた。


燭台のドロップがアロマキャンドルなのは何かネタなのか?


部屋の中に次の階層への階段があったりするらしいから、基本的にここは全室確認が求められる。


「キュー!」


おぉ、書庫っぽい。ヤクシが本だ!と喜んでいる。


ヤクシは猫ベースと思えない程に勤勉だから学術書とかも大好きなんだ。ご主人と気が合う趣味しとる。


「うにゃ?うなぁぁ?」


というか、気配察知では殆どがモンスター判定なんだが?所謂モンスターハウスというやつではあるまいか?


つまり……


「にゃぁぁぁん!」


ビリビリ祭りだぁぁっ!浮いて動いて自分から破かせにくる本とか、俺得でしかないのだ!


ただ、惜しいのはちょっと爪で引っ掻いてビリビリしただけで消えちゃうところ。


もっと、こう、シュレッダーかけました!ってくらいにビリビリしたかった。


『これはー猫がー喜ぶやつー』


うにゃうにゃ言いながらジャンピングひっかく、両手みだれひっかき、たまに蹴り。


数が多くてたまに飛んでくる魔法は猫パンチで跳ね返す。跳ね返せばどれかには当たる密度。


魔法の時には本が止まってページをパラパラするので、とっても隙有りだ。俺的にはでっかい蝶々叩き落とすほうが難しい。



通常のイタズラなら家に帰ってきた飼い主に片付けが待っているんだろう。


しかしここはダンジョン、床一面に散らばった魔石とアイテムは自分たちで回収しなきゃならない。


「………うにゃ」


これが、飼い主の虚しさなのかとイタズラに悩まされる飼い主の気持ちがちょっとわかってしまったのだった。

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