第100話 ゴブリンダンジョン6階
「にゃ!?」
落ち着いたらしいミロクが、僕たちを見てびっくりしている。
「うなぁ?」
『マスターとー、ヤクシがー凄いスピードでーゴブリン倒しながらー走ったんでしょー?マリモちゃん、後ろからードロップ品拾って来たんだよー?』
マリモちゃんの背中のリュックはパンパンだったから、ここまでちゃんと倒しながら来たんだね。
『しかもー、宝箱放置したでしょー?何かダンジョンさん寂しそうだったよー?因みに中身はーゴブリンの腰巻きに使われてる布の綺麗なやつー』
「キュ!?」
「ヤクシが、バッチいから捨てなきゃだって」
「いや、神木はここで通訳してないで呼べよ」
えぇー?でも3匹のわちゃわちゃ見てたくない?
「ミロクー?」
「にゃ」
「頑張れるの?」
「にゃ!」
「臭いけど頑張るって」
皆に説明したら、三井君が違うと言いたげに首をふった。
「合流しちまったけどどうするかって話だよ」
「うにゃにゃ」
「速く終わらせたいから先に行くんだって」
「ミロク氏、出来れば道中のゴブリンはスルーしてくれると有り難いで御座る」
「戦闘訓練で来てるからな、リポップ待ちは遠慮したい」
「だな!この速度で5階まで来れたんなら8階位の敵から倒してけばボス戦の調整出来んだろ!」
そういえば倒されるとリポップまで時間かかるんだった。ミロク達が倒して行っちゃうと僕たちの倒すゴブリンが居なくなっちゃうね。
「……にゃ」
「スルーしてけば良かったのかって言って……ミロクは時々戦闘脳だよねー」
ゴブリンなんてミロク達に追い付けないんだから、さっさと階段見つけてけば戦わなくても良いんだよ。
階段ってセーフティーエリアになってるんだから。
「うにゃ!」
「じゃあ、そういうことで!だって」
無視して行くことにしたらしいミロク達は、スタタタタッと走って行った。
「はっや!で御座る」
「じゃあ、俺達も進もうぜ!」
僕たちはミロク達みたいにフィジカル強者じゃないから慎重に進む。
洞窟型だから道はでこぼこだし、ちょっとじめじめしてるし、光苔のうっすらとした明かりしかない。
銀が居たら斥候訓練にならないからって戦闘になるまではお留守番だし、癒しが無いなぁ。
「ゴブリン5体で御座る、多分アーチャーと魔法使いも居ると思われるで御座る」
気配察知系を鍛えてる野田君、僕のは装備スキルだから何か居るくらいしかわからない。
まぁ、それがわかるだけでも便利なんだけどね。
「んじゃ銀出すぞ」
「わふっ」
ぴょーんと飛び出てきた銀、小さめな声で出たぞって言ってるのが可愛い。
そして場所がゴブリンダンジョンだってわかって一瞬嫌そうにした。
直ぐにキリッとした顔に戻ったけど、やっぱり嫌なんだね。
「匂いしてきたな」
盾を持ち直しながら安田君が言ったけど、確かに?
そういえば僕のユニークってモンスターの言葉はわかんないんだよね。テイムモンスターのはわかるんだけど、やっぱり普通のモンスターは解り合えないからスキル範囲外なんだろうね。
6階からゴブリンもパーティー組んで現れるから、こういう立ち回りとかを学ぶために、このダンジョンは残されてる。
「ゴブゴブうるさいで御座る!」
先制は野田君の投げナイフ、アーチャーの攻撃を妨害したのを確認して、僕は前に出る。
銀が魔法使いに行ったから、僕は剣士の相手だね。
6階にもなると普通よりは強いゴブリンだし、油断せずに殺ろう。
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