えぇ?

第98話 猫って自由なんだね


ミロクがレベル50になって小ダンジョンに行ったけど、特に何も無かった報告と一緒に、収納鞄(飴色レザーで白猫のチャーム付きウェストポーチ)を持ってきた。


ご主人にあげる!って軽く渡されたけど、収納容量は体育館くらいで時間停止付きとかいう一級品だった。


猫が体育館の広さを知ってる謎はどうでもいいけど、こんな高級品ポンと渡されても困る。


「うにゃ」


「え……ミロクと飼い主限定なの?」


ミロクが言うにはミロク限定だったけど、ダンジョンさんにミロクは要らないからご主人にあげたいって言ったらミロクと飼い主限定になったんだって。


ダンジョンさん、ミロクに優し過ぎでは?



そういえばユニークスキルはダンジョンに気に入られたから付くんだってヤクシが騒いでたな?


「にゃにゃ」


「ありがとミロク」


耳裏グリグリしてあげると目を細めてゴロゴロ喉を鳴らした。


装備系が重かったから助かるのは事実なんだよね。


白猫のチャームって完璧ミロクだし、猫耳フードポンチョだし、なんか僕がとんでもない猫好きみたいだ。


いや、猫好きだけどさ?私物とかに猫グッズ使うのとはまた別じゃん?


こう、可愛いからちょっと恥ずかしい気持ちになるよね?


「にゃ」


「お安い猫だねぇ」


この収納鞄のお礼ににゃーるを所望された。全然釣り合わないけど、それで満足らしい。


ミロクは全出しペロペロもいいが、ちょっとずつ味わうペロペロも捨てがたいとか悩んでる。


そこに悩むんだねぇ可愛い。


ダンジョンでレベルが上がっても、何故かカウンターから少し離れた机に跳び移る時に躊躇するし、しかもたまに滑ってうまく跳べなくて床に着地するし。


あの失敗したあとの「床に下りたかったんだ」って小さな呟きは笑っちゃ可哀想だからスルーしてあげた。


なのにチラチラ僕を見てくるから笑っちゃうよね。


猫はレベル上がっても猫なんだなって思ったよ。


何故かミロクはジャンプして開いたドアの上に着地出来るのに、それより低い棚とかに乗るとき躊躇うんだよね?


聞いてみたら、勢いの差とか上に物があるか無いかとか色々条件があるらしかった。


一番はなんか躊躇った時に限って足が滑るとか言ってた。


真面目な顔して躊躇うと足が滑る呪いはかかって無かったって言ってたよ。


さて、そんなミロクなんだけど……



何故か放課後のD級ダンジョン行きバスに乗ってた。


「えぇ?」


「いやぁ、このこ達がね?バスに乗ってもいいかってうるうる見つめて来るもんだから…上に聞いたら生徒さんが良いならオッケーだって言うから」


運転手さんがヤクシをナデナデしながら笑顔で説明してくれた。


「うにゃにゃ」


「マリモちゃんを大きくしてダンジョン行こうとしたら高村さんに止められた?だから学校のバスで一緒に行こうと?」



「にゃ」


いや、うん。じゃないからね?


マリモちゃんが大きくなって空を飛んだら確かに騒ぎになるから高村さんは止めて正解だし、とりあえず高村さんに事前連絡したミロクも正解なんだけど…




バスに乗りに学校くるぐらいなら普通にダンジョン行けたよね?

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