第95話 肉系ダンジョン4階
真面目に探索して3階終了。
「ご飯食べよう」
4階に行く途中の階段で昼御飯だ。
俺のストレージからご主人のお弁当とカリカリを出す。
ヤクシは魔石でいいし、マリモちゃんはご主人に霧吹きでシュッシュッとやってもらって終わりだが、俺とご主人は食わなきゃならない。
「ミロクのおかげで温かいものが食べられるのが良いよね」
温かいものはご主人しか食べてないけど、そんなこと言わない程度に空気は読めるのだ。
食べ終わったご主人にモフモフされながらスマホでギルドホームページを見る。
4階の注意点の確認だ。
「うにゃにゃ」
4階の注意点は特になし、森林タイプで角ウサギと蛇と鶏等が出る。攻撃頻度が上がるので注意しよう!
注意点あるやないかーい!な気分。
まぁ、特にトラップは……草結びがあるの?ウサギがやってんの?本当に注意点特になしは何がなしなの?
……ご主人が草結びに引っ掛かりそうだなって思うの俺だけ?
「4階は致死性のトラップは無いし、動物型のモンスターだけだから人気階層みたいだね……変な肉は蛇くらいかな」
「キュー!」
蛇も食べたこと無ーい!ってヤクシがはしゃいでおる。ヤクシ?ご主人嫌なんだぞ?多分出来れば食で冒険したくないんだぞ?
でも、変な肉食べたご主人の反応も見たい気がする。
「にゃ」
唐揚げは全てを解決するってタンクのオジさん言ってた。
「……そうなんだ」
生姜とニンニクと醤油があればだいたい何の肉でも食えるらしいよ?
苦笑いしながらご主人が立ち上がったので、洗浄の魔法をかけてカッパと長靴を回収。
俺は虎くらいのでかさになって準備オッケー!
4階にGO。
心地いい風が吹く爽やかな森林フィールドだが、うっすら獣道があるのでうろうろしなきゃ迷いはしない。
うろうろすれば林檎とかの果物がゲット出来るらしいが、迷子になる確率も上がる。
因みに獣道はダンジョンさんの優しさらしい。
ご主人の脛くらいの丈の草が絡んで歩き難い。この草は刈ってもいいが、2時間くらいで元に戻るらしい。
俺が虎くらいの大きさになったのは顔にビシバシ草が当たるからだ。猫の大きさだと確実に草に紛れちゃうしな。
「にゃ」
おっと、野生の角ウサギが跳び出してきた!ミロクの猫パンチ!角ウサギは倒れた!
「そこひっかくじゃないんだ?」
さすがにご主人も有名だから知っていたらしい。この世界にもあって俺は嬉しい。
「ムッ!」
「にゃ!?」
思わずぴょーんと跳び退いてしまった。
木から蛇がダイブアタックしたのをご主人が剣で一撃だ。
「……そういえば猫って」
「うにゃ」
お恥ずかしい、本能的に跳んでしまった。と言い訳してちょっと前足で顔を隠した。
「キュー?」
『猫のー天敵ー?蛇だったからー?本能的にびっくりしちゃうーみたいなー?』
うむ、急に来られるとどうしてもびっくりしちゃうのだ。正面からならベシベシ叩けるんだが…
「まぁしょうがないよね」
「にゃ」
ガサガサしながら進むと、獣道の草が低くなり、ハイキングコースかってくらいには道らしくなった。
そして道の真ん中に堂々と仁王立ちしてる鶏。
バランスボールくらい大きくて、真っ赤な鶏冠に鋭い爪と嘴、真っ白な羽毛に長い尾羽、そして鶏とは思えないくらいにきゅるんとうるうるした目。
「リアル鶏にキャラクターの目を合体させたらすごく残念なんだね、初めて知ったよ」
「コケーッ!」
バサッと翼を広げているが、うるうる目のせいで迫力は無い。
「みゃぁお!」
「キュゥゥッ!」
『え、マリモちゃんー鳴き声無いよー!』
「何で威嚇しあってんの?ミロクの尻尾膨らんでるけど?」
ハッ!つい、喧嘩売られた気がしてオラついてしまった!
「にゃあ?」
「あぁ、喧嘩売られた気がしたの?もしかしたら挑発スキルかもね?」
『違うのー猫の本能なのよー?ヤクシは真似しただけなのー!』
……本能だった。
「えっと、とりあえず倒すね」
ご主人がなんだか恥ずかしそうに鶏に向かっていった。
……あれ?なんか鶏強く無い?翼でご主人の剣を受け流して、つついたり蹴り入れたりしてるんだけど?いや、ご主人も避けてるし全部受け流されてるわけじゃないけどさ?
お!首に良いの入った!って気を抜いたご主人が鶏に蹴られた!そんで鶏消えた!
「キュ」
「はい、最後気を抜きましたごめんなさい」
これまたお守りの守護範囲じゃなかったので、打撲あとをヤクシがヒールで治しながらご主人を叱った。
倒したと思っても魔石に変わるまでは気を抜くなよってダンジョンさんからの教えなんだろう。
決して鶏が首を切ってもしばらく動くからとかじゃない筈。
……だよね?
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