第94話 ダンジョンさんは思考させたい


ワニは普通に倒せた。


「はぁ、ここって5階くらいまでは強さ的にD級の筈なんだけどちょっとめんどくさいのが多いね」


「にゃ?」


「初級クラスはD級のボス倒したら卒業で中級になるんだよ、ここはC級だけど5階までなら初級クラスも入って大丈夫なんだ」



そういやダンジョンの分け方そんなだったなぁ?かなり初期に見たからテキトーだった。


「今三井君たちとD級攻略中なんだよね」


あれ?もしかして俺達色々すっ飛ばしてる?


「にゃぁ?」


「ミロクはレベルだけ見ると中級クラスだから高村さんもミロクたちだけなら2階までって言ったでしょ?」


あー、そういうことか。


「キュー?」


でも近くにD級有ったかな?ってヤクシが首を傾げてる。


「ギルド挟んで家とは反対側だね、D級までなら放課後学校からバス出るんだよね」


俺達が行くならマリモちゃんに乗れば速いのでは?


「うにゃ?」


それよりご主人、カエルに囲まれてるんだが?


「うん、どうしようか?なんか膨らんでるよね?」


仕方ないなぁ。先ずは植物魔法でカエルを上に飛ばす、真上じゃなく離れた場所に向かってボールをアンダースローで投げるようにだ。


そして地面に落ちる瞬間ぐさー!


「にゃ」


「おおー!」


破裂はしたけど離れたので汚れなかった。


「ミロク戦うの上手だよね」


「うにゃ」


じゃらしで鍛えてるからな。


そう答えたら、何故かご主人は首を傾げた。


「なんかちょっとそれじゃない感あるよね」


何が?


俺も首を傾げた。


『マスター魔石拾ったー』


「うにゃ」


マリモちゃんがドロップ品と魔石を回収してくれたようだ。


受け取ってストレージにポイポイ。


「カエル肉……」


ご主人はぽそっと呟いて、歩きだした。因みにご主人はカエル肉を嫌がってるが、ここにはもっとご主人が嫌がりそうなやつが居るのだ。ノンアクティブだけど。


でっかい幼虫な。カブトムシとかのやつ。お魚のエサとして活用されてるらしいので、買い取り価格がカエル肉より高い。


1匹そこの木の影に居るんだけど、教えるべきかな?絶対ご主人嫌いだと思う。


「あれ?なんかそこに白い………先を急ごうか」


そういう時だけ気が付いちゃうのあるあるだよね。せっかく黙ってたのに自分で気が付いちゃうの。


「カエル居た」


今度は魔法でちゃんとご主人が倒した。


「うーん、こうなるとやっぱり強さは無いんだよねぇ」


「キュー」


『ちょっとー厄介なだけでー強くはないよねー』


……その厄介なのをどう解決するのかって能力を高めるダンジョンなのでは?ほら、ダンジョンさん優しいから。


考えて戦いなさいって小ダンジョンの時からやってるじゃん?


「みゃぁん」


おっさんになりたくなければ考えて戦う能力をつけるのだ。


フードの中でゴロゴロしながら言ったら、ご主人もヤクシも何故かマリモちゃんもちょっと必死になって戦ってた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る