第92話 食べられると食べたくない


ご主人は安定して鳥を狩れるようになってきた。


「あ、今度は普通の…って速い!」


丸々ふくふくしてる鳥転がるのは雀っぽいやつで、今度は……ウズラ?多分ウズラ。


コイツも丸々ふくふくしてるけど、転がらずに小さな翼をパタパタしながら走ってきた。


ご主人的には速いらしい。俺的には、こう…追いかけてちょいちょい前足でちょっかいかけたくなるような速さ。



まぁ、パタパタしながら向かってくる鳥なんてペシンとやって終わりだ。


首を微かに前後してるから、つついてるつもりなんだろう。


……ダンジョンさん、中級なのにモンスターがこれだなんて優しすぎでは?


これならまだ初級の蜘蛛のほうが強い感あるよね。


「にゃぁ」


「キュー」


『肉…?』


3階はカエル肉だって教えてやったら、ヤクシは初めて食べる肉だって喜んでる。マリモちゃんは微妙そうだな。


「え、カエル肉食べるの?」


「うにゃ?」


肉をとりに来たのでは?


「いや、ダンジョン探索しに来たんだよ」


……それだ!そうだった!


「うにゃにゃ」


「そうだね、目的を見失ってたね」


ダンジョン探索して金を稼いだほうがご主人に色々食べさせてあげられるんだった。ご主人は肉だけ食べてりゃいい生き物じゃないもんね。


まぁ、俺は小ダンジョンの宝箱からのアイテムのほうが儲かるんだけどな。


「ミロクのストレージがあるから保存は無視出来るとしても、普段使ってるようなお肉じゃないと料理出来ないよ」


「キュー」


「あ、ヤクシの分は茹でるだけだから1つ残そうか」


「うにゃ」


「ミロク、唐揚げは全てを解決する。じゃないんだよ、食費に困ってるわけでもないのにカエルは食べたくないんだよ」



……すまぬご主人、思考が猫だった。確かに俺もネズミ肉は嫌だって思ったわ。カエルは近所の猫が旨いとか言ってたから普通に食える物認識だった。


「にゃ」


ご主人の言葉に頷いて返した。


『そういえばー採取トラップはどうするのー?』


「やりません、3階に行くよ」


3階の注意点は、湿地であること、カエルを集めすぎると大音量で鳴き出して気絶させられること、カエルが鳴く時は膨らむけど膨らんだ状態のカエルを切りつけると破裂して内臓まみれになること。


モンスターって倒せばモヤになって消えるけどカエルは破裂した内臓とかが消えない嫌がらせ仕様なのだ。



「うにゃ」


「カッパと長靴……用意がいいねミロク」


ご主人は初めてだから破裂した時のためにカッパを用意してみた。


因みに俺は足が濡れるのが嫌なので、カッパのフードに小さくなってお邪魔する予定である。



俺が一番レベル高いし、ヤクシやマリモちゃんに経験値を譲ってあげるのだ。


「にゃ」


「ヤクシとマリモちゃんのレベルアップのためにお休みする?ミロク絶対足が濡れるのが嫌なだけだよね?」


「うにゃ」


「そうとも言うって、そうとしか言わないけど……まぁ、いいよ。ミロクのレベルが高いのは事実だし」


理解あるご主人サイコー!

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