第66話 達成と継続は別です


公園のあと、何故かゲーム屋さんに行ってオススメのゲームを教えてくれる三井君。


「今はVRが主流だぞ、没入型だからダンジョン前に戦闘慣れ出来るしな」


「持ってないね」


テトリスはスマホゲームだし。


「うにゃ!にゃ!にゃ!」


「ミロクがやりたいって言ってるけど猫は出来るの?」


「猫が使うことを想定してねぇと思うぞ」


だよね?


「カプセル型ならワンチャン有るかもだけど高いし、普通に遊ぶならゴーグル型で足りるし」


うん、ゴーグル型でも最低一万円からだしカプセル型なら設置のために工事が必要ってところが、もう無理だよね。


「にゃー……」


「VRならご主人とゲームで遊んであげられたのにだって」


「神木?お前ミロクにゲームで遊んであげなきゃって思われてるところを気にしようぜ?」


うん、別にじゃらしとかで遊んでるからゲームはいいのにね?


「三井君、お猫様にしてみたら人間なんて下僕でしかないんだよ?」


「そっちじゃねぇ、猫にさえちゃんとしたゲームで遊んでないって気を使われてんだよ」


あ、そっちかぁ。


「テトリスはゲームだと思う」


「にゃ」


「テトリスだけなのが駄目なのか…」


「…もうそれでいいか。とりあえずRPGとかアクション、シュミレーション系が無難かな?ゲーム初心者にMMORPGってすすめていいもんなのか?」


「にゃにゃにゃ」


「ゲームは遊びじゃない系が居るのは駄目だって」


「んじゃオンラインじゃないやつがいいな」


ゲームは遊びなのに遊びじゃないとは?え?説明は無いの?まぁいいか。


というわけで、ミロクがお金出すってきかなかったので折半で話をつけて、VRゴーグルとストーリーモードとオンラインモードが選べる探索者向けのRPGを買ってしまった。


これ、多分学校で三井君の友達とかが話してるやつだ。


絶対オンラインにはしないでおこう。


あと、ミロクがVR本体を作成してる会社のお客様窓口にメールを送ってた。


「んじゃ後で俺のID送るからフレンド登録してくれよな!」



「うん、頑張る」


「ストーリーモードでも配信機能ついてるから家のパソコンにだけの設定にして、コメントでミロク達と話しも出来るぜ」


それは嬉しい。


「ダンジョンに出るモンスターを参考に作ってるからやっとけばダンジョンの予習にもなるんだぜ」


「あー……なんか皆が無駄にモンスターに詳しいのそれでかぁ」


「にゃ」


ミロクが驚いた顔で凄く失礼なことを言った。


「僕にだって休み時間に雑談する人くらいいるよ」


「お前本気でミロクに心配されてんじゃんか」


「そうなんだよ、なんかひとり寂しくボッチで居るって思われてて」


「まぁ、神木は自分からは話しに行かないからそうなってた可能性はある」


「三井君が筆頭だけど結構物怖じしないよね皆」


尊敬する。僕は話を聞く係で精一杯だよ。


「どっちかって言うとミーハーな気持ちだぞ?動画ファンだもん」


……動画について聞かれたこと無いけど?



「良いやつなのは動画でわかってるからぐいぐい行った!思った通り押しに弱いよな!」


……自覚はあるね。


「ついでに天然だし保護しなきゃって思った!」


「……?三井君は養殖なの?」


「そういうとこだぞ!」


えー?


ミロクに助けを求めてチラ見してみたら、あちゃーって感じで頭を抱えてた。


「まぁ気にすんな!皆にも神木がゲームする事言っとくし、今度一緒に遊ぼうって誘っとくな!」



……なんか、僕のやることだけが増えていってる気がするけど、リア充ってこういうことなんだなって諦めよう。


これで、ミロクが言ってた『友達とわちゃわちゃ遊んで予定がいっぱいリア充生活を目指すのだ!』は達成だよね。

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