第63話 アームに遊ばれてるのかもしれない


ミロクとヤクシの入ったキャリーリュックを持って自転車で待ち合わせ場所まで行った。


5分前だけど三井君は既に待ってくれていた。というか三井君既になんか疲れてないかな?


「お待たせ?三井君なんか疲れてない?」


「おー……銀が暴れてな」


三井君が抱えてる銀はスヤスヤ寝てる。とても満足そうだ。


「あー、うん、小さい時はそんなもの…かもしれない」


僕はちょっと自信ないけど、一般的にはそんなものだと思うよ?動物動画とかではそうだったし。


「まぁそーなんだけど、銀は普通よりやんちゃっぽいんだよなぁ」



そう言いながら、銀をキャリーリュックに入れた三井君、満更でもなさそうな顔をしている。


「んじゃ行くか!」


自転車に乗って移動する三井君についていったら意外とすぐにゲームセンターに着いた。


自転車を停めて、中に入ると視界がチカチカするほどの鮮やかさだったが、音は静かだった。


「本当に静かだね」


「だろ?」


何でも小音機という音を小さくするだけの魔道具を作った人がいて、騒音に悩まされてた住人が小音機を買ったけど家の中の音を小さくするだけで外の音には効果なしだった。


そこで、騒音の元になった場所に設置をお願いして、今ではゲームセンターにまで設置されるようになったんだとか。


音楽系ゲームはヘッドフォンが使えるらしい。


ペット可のここはゲームセンター兼カフェみたいな場所になってるらしい。入り口の反対側にカフェスペースと小さいドッグランがあるんだって。


「とりあえず定番から説明しとく」


そう言って案内されたのはUFOキャッチャーだ。


「いや、これくらい知ってるけど?」


え?何でそんな驚いた顔されるの?


「知ってるんだ?んじゃやってみ」


知ってるよ、コイン入れて……あれ?縦行って横行って……最後のボタンは何?え?何で回るの!?横で良かったのにアームが縦になったらあぁ!もう動かないじゃん!縦だと何もないよ!


「うにゃ」


「下手くそって酷くない?初めてだったんだよ?」


なんかミロクが出せって言うから出したけど、免許からのチャージでお金払ってやり始めた。


「いつの間にかミロクがゲームやってる」


「え、何で……」



ガコンッ


「にゃ」


「猫がUFOキャッチャー上手い件」


「初めてのミロクでも出来たのに……」


ゲームのセンスが無いのかもしれない。


「うにゃにゃ」


「景品がにゃーるだから本気出したって、えぇ?」


確かに僕は景品がにゃーるのやつでやってたよ?どうせやるならにゃーるかな?って思って。


まさか、人以上に猫が本気で取ろうとするとは店の人も思わないでしょ。


ミロクはにゃーるの箱を開けてって言ったので、開けたら1つ取り出して三井君に渡した。


「え?貰っていいんか?」


「にゃ」


あれは、きっと僕を遊びに誘ったことを褒めるためのにゃーるだ。言いたくない。


不思議そうにしながらも、礼を言って受け取った三井君。


「うにゃにゃ」


「なんて?」


「ご主人には太鼓の名人がオススメだって」


どこでゲームを知るのだろうか?


三井君は深く考えるのはやめてるので、普通に太鼓の名人の場所に案内してくれた。


太鼓の真ん中と角を叩くゲームらしい。


先ずは優しいやつから始めた。


「成る程?」


「おぉ、上手いじゃん」


これは得意かもしれない。楽しいね!


もう一度遊べるドンらしい。ドン?


「もう1つで俺もやる!一番ムズいのやろうぜ!」


というわけで鬼畜モードというやつを選んで始めたが……これ難しいね?速さが凄いんだけど?


「ぎゃー!ミスった!おわっ、ちょっリカバリー出来ねぇ!」


三井君がわちゃわちゃしてるなぁ?


「は!?マジかよ、いまんとこノーミスじゃん!」


「難しいけど出来なくはないよね」


こう、叔父さんとやった剣での攻撃防御訓練よりは優しいかもしれない。


「うわ、フルコンプにパーフェクトだ」


「これは面白かったね」


名前がどうとか出てるけど良くわからないから次行こう。僕アレやってみたいな!


なんかショベルカーみたいなのがついてるやつ!


「え?名前…まぁいっか!神木、それ奥にお菓子入れてずらして落とすやつ!」


へー!動いて掬って落とすのか!


「ぜんぜん掬えない!」


「うにゃ」


「神木!?ミロクが別の席でお菓子落としまくってるんだけど!」



僕はこういう系はダメみたいだ。ミロクに任そう。

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