第22話 犬と佐藤と小ダンジョン5


「これ、進化先のプレビュー見れへんのか?」


おい、そんなこと言ったら優しいダンジョンさんは対応しちゃうぞ?



「……なんやプレビュー画面って項目出てきたんやけど?なんなん?見てるん?何かが見てるんか!?」


『ダンジョンさんはアフターサービス万全の優しいやつだぞ』



「ダンジョンさん!?知っとるんか!?」



『ミロクが勝手に言ってるだけ、それよりプレビュー見せろよろし』


わざとらしく時々日本語間違ってみるけど趣味みたいなもので本気で日本語わからないと思わせる意思はない。


佐藤の肩に跳び乗って、半透明の画面を見る。


個人情報?俺の私生活を動画配信してるんだから俺が誰かの情報見たって良いよな!



「ほんなら先ずは一番変わりそうなドワーフみとこか」


確かに、ファンタジー系では髭もじゃのずんぐりむっくりのおっさんなイメージだ。


佐藤がドワーフのプレビューを開くと、佐藤ベースの筋肉マッチョマンが表示された。


ついでに特徴も載ってる。


ふむふむ、骨太になり筋繊維の強靭化にくわえて柔軟性も追加され、皮膚も鞣し革位の強度になると、あと剛毛で赤茶系の色味になるらしい。



「無いわ……俺マッチョ願望薄いねん」


次いでエルフをポチっとな。


佐藤ベースのイケメンフィルター掛けた感じ?あと耳がちょっと長くて尖ってる。細身だがなよなよしい感じはない。


説明文では身体は柔軟性が強くなり、骨と関節が強化。筋力は元の身体参照。ちょっと美形補正が入り、聴覚もちょっと強化。深緑系の髪色になるらしい。


「美形補正……」


なんかどんよりしてるの何でだ?


次はヒューマンだが、見た目に変化は無しだった。


『佐藤は弓の人だからエルフだな!』


「は?いやいや、進化後についてなんも決まっとらんのに進化とか選べへんやろ!」



………確かに!


『でもきっと、ギルドから人身御供出すよな?高村やおっさんなら喜んで進化しそうだぞ?』


「……せやな?」


『ミロクから言わせると進化は悪いもの違うから、進化しとけばいいと思われ。偉い人は証拠がないとわからんのです!』


「せやかていきなり種族変わるのもなぁ」


まぁ、俺は進化しても猫は猫だったしな!だがその前に人間から猫になったからそこまで種族変わることに拒否感感じなかったんだよな!



「決めた、エルフやわ。狩人や魔法使い系はエルフ安定やと思う」


おぉ!やるのか佐藤!


佐藤の肩から降りて、犬たちと一緒に見守る。あ、熱くなるぞって言い忘れた!


「お?アッツ!?ふぁ!?……一瞬やんけ」


おぉぉっ!エルフだ!……いや、佐藤だな?思ったより佐藤感強いな?耳さえ隠せばプチ整形を疑われるレベルの変化だな?



プレビュー通りではあるんだが、実物で見ると思ったほど異種族感無いな?


『思ったより異種族感無いぞ?耳隠せばプチ整形疑われるレベルの変化』


「プチ整形て、逆に嫌やわぁ。てか身体がめっちゃ軽く感じんねん!軽業スキル発動してるときみたいな感じやな?」


すまん、猫だからパッシブで軽業スキル発動してるんだ。わからん!



佐藤が開脚とかブリッジとか始めて柔軟性を確かめてる。


『佐藤、ダンジョンさんも次の小ダンジョン作りたいだろうから外でやるよろし』


ダンジョンさん、強制排出するでもなく、待っててくれる優しさ。


「……せやな、てかホンマに小ダンジョンは優しいな?これやっぱ小ダンジョンからクリアしていくのが正解やん、普通のダンジョンは攻略報酬てアイテムだけやもん」



『ドローンで小ダンジョン潰してるのは攻略報酬無いのか?』


「無いんやろなぁ?そこは実際にダンジョンに入ったかどうかで判断しとるんやろか?小ダンジョン潰しに参加したことないからわからんわ」


うむ、偉い人が考えなきゃいけない謎が増えたな!

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