第181話 生還

 扉に入る6人。


 炎の矢が作った地上への緩やかな坂道を上っていく。

 出口には光が見える。

 花子の炎はしっかりと地上まで氷を貫通していた。


『バキバキッ』

 扉通ってきたは地割れに巻き込まれ粉々に砕け散る。


「本当にギリギリだったんですね……」

「うん……もう後戻りはできない」


「さ、寒ィ……!! やっと戻ってきた人間界だってのに死んじまうよ!」

「金剛寺くん! 黙って進んで! ここまで来れただけで奇跡なのよ!」

「炎魔法が通った道だからな……これでもまだ暖かい方だろう……外に出たら極寒だぞ……」

 虎石は心配そうに呟く。


「でもよ……地上に出たってそれからどうするんだよ!?」

「……分からん。政府の者が救助の手配をしてくれてたらいいんだが……」


 6人は光の射す方へ歩く。


「さ、さ、さ、寒い……花子さん……火を出せないかな?」

 アキラは凍えながら言う。


「無理ですよ……『炎帝のブレスレット』はもう壊れちゃったし、それにここは南極、人間界です。もうダンジョンアイテムは使えませんよ」


「そ、そうか……こんなことになるんだったら、厚着してくるだったな……」


「……こんなことになるなんて、想像できませんよ……」


 ようやく炎が作った通り道のゴールが近づいてきた。


「そろそろ出口だ……ん? なんの音だ……?」


『ババババッ……』

 地上に出るとそこには、数台のヘリコプターが飛んでいる。


「ヘ、ヘリコプター……!?」

 空を見上げて驚くアキラたち。


「よしっ……救助を手配してくれていたんだな!」


「よかった……生きて帰ってこれたよ! 花子さん! まどかちゃん!」


 ◇


 無事、生還した6人。

 こうして、30年前、人間界に突如現れたすべてのダンジョンは消滅した。

 ダンジョンアイテムも全て消えてなくなった。

 アキラが神を倒した頃、人間界で暴れるモンスターたちも消滅しており、人間界に日常が戻ってくる。


 ◇


 そして、2ヶ月が過ぎた……


「アキラさーん! まだですかー?」

 アキラの支度を待つ花子。


「はーい、ちょっと待って」

「まったく! 結婚式に遅刻なんて許されませんよ?」

「はいはい! もうちょい待って!」


 支度を終え、アキラと花子は『アキラちゃんねる』の事務所を出る。




★★★★★★★★★

お読みいただきありがとうございます。

次回、最終話です。

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