第163話 最強ゴブリン、再び
扉の中は薄暗い洞窟だった。
「おい! どうなってんだよ! レベル100のダンジョンは草原って話だったじゃねェか!」
「いや! ここを抜けると草原のはずです! 前もそうでした」
狭い洞窟を5人で進む。
やがて、光が差し込み、洞窟を向けると一面の草原が広がる。
「おー……こりゃすげェ……これが本当にダンジョンなのか?」
目の前に広がる広大な草原を前に、口をポカンと開ける金剛寺。
「これはすごいな……美しい風景だ。恐ろしいダンジョンじゃないなら、こんなところで老後を過ごしたいもんだな」
虎石もレベル100もダンジョンに驚く。
5人は空に浮かぶ城を見上げる。
「……あれがウワサの城か……あそこにナオコが……!」
◇
『ガサガサッ!』
その時、遠くの草が激しく揺れる。
「! 来ますよ! モンスターですッ!」
5人は武器を構え、戦闘態勢をとる。
超スピードでこちらに向かってくるモンスターの影。
「……またアイツか」
現れたモンスターは前回アキラたち3人を苦しめた屈強なゴブリンだ。
「あの時は3人でも敵わなくてすぐに『脱出の羽根』を使ったな……でも……俺たちはあの頃のままじゃないんだッ!」
ゴブリンはアキラに向かって殴りかかる。
アキラは拳をギリギリで回避する。ギリギリでしか避けられなかったのではない。
完全にゴブリンの攻撃を見切って無駄のない最小限の動きで回避したのだ。
柳生との剣術のトレーニングで身に付けた、相手の攻撃を見切るテクニックだ。
「……なんだ? こんなもんだったのか! 見え見えの無駄の多い攻撃だぜ!」
アキラはゴブリンの胴体に目には見えない速さで剣を振る。
ゴブリンは2つに斬り離され、砂に姿を変える。
「……よし! 俺たちはレベル100に通用するぞ!」
レベル100のダンジョンで何もできずに逃げ出してから半年。
これまでのトレーニングは無駄ではなかったと確信したパーティーだった。
草原のあちこちからゴブリンの気配を感じる。
「次は私が行くわよ!」
花子は弓を弾く。無数の炎の矢がゴブリンに向って飛んでいく。
『聖なる弓』の効果で、花子自身には見えていない敵でも自動で追尾し攻撃することができる。
遠くの草原でいくつかの火柱が立つ。
花子の炎でゴブリンが燃えていた。
背後からもゴブリンが襲いかかる。
まどかはゆっくりと構え、静かに剣を振り下ろす。
ゴブリンの脳天から股にかけて一直線に斬撃が走り、真っ二つに裂けた。
「す、すげェなお前ら! よし、虎石! 俺たちも負けてられねェぞ!」
「ああ! いくぞ!」
虎石たちもゴブリンを次々と薙ぎ払う。
人類最強の5人はレベル100のダンジョンでも強かった。
★★★★★★★★★
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