第142話 レベル90クリア、そして……

「す、すげェな……あいつら本当にやりやがった!」

「レベル90のダンジョンをたった3人でクリアか……恐ろしいパーティーだ。これはダンジョンの歴史が変わるぞ」

 アキラの部屋でカブトムシ・ドローン・カメラの映像を見る虎石たちも興奮していた。


 ◇


「やった! やったぞ!」

「3人とも無事でよかったですわ!」

「ええ。本当に人生で1番疲れましたよ……」

「これでお婆さんとの約束を果たせたね!」


 ダンジョンをクリアし、大喜びの3人。

 そんな彼らの前にダンジョンガチャが現れた。


「あ……ダンジョンガチャか。喜びのあまりすっかり忘れてたよ。どうしよう? 回す? パスする?」


「うーん……レベル90ですからね……今日のところは記念に回しておきましょうか?」


 普段ならパスをするアキラたちだが、人類最高レベルクリアとあって、今回は1回目のガチャだが回すことにした。


『ガチャ!』

『魔法の糸電話 レア度★★★☆☆ どれだけ離れていても会話ができる』


「い、糸電話!?」

 ガチャからは2つの紙コップのようなものが飛び出した。

 糸は目には見えない、魔法の糸のようなものなのだろうか?

「さすがレベル90のダンジョンですね。一発目でレア度★★★☆☆のアイテムが出るなんて」


「このアイテムなら、人間界とダンジョンで会話もできそうですね。便利なアイテムですわ」


 ◇


 ダンジョンをクリアした3人は扉の前ワープする。

 部屋に戻る彼らを虎石たちが出迎えた。


「見させてもらったよ。おめでとう! すごいじゃないか!」

「よくやった! さすが俺の弟子たちだ! ガッバッハ!」

「ははは……弟子って……」


「お疲れさん。ええ戦いじゃったよ」

 老婆を笑顔でアキラたちを褒め称える。


「……ありがとうございます。約束通りレベル90クリアしましたよ!」


「ああ……覚えとるよ。ちゃんと話そうかのぅ」


「おいおい、婆さん? 約束ってのなんのことだ??」

 何も知らない金剛寺は不思議そうに老婆とアキラを見る。


「金剛寺、虎石……あんたたちに謝らないといけないことがあってねぇ……」

 弱々しい声で言う老婆。


「あ、謝ること……?」


「さて、あんたたち、ほんとによくやったよ。いつかこの話をしたいと思っていたんじゃ……」

 老婆はアキラたちを見つめる。


 錬成師の老婆 武者小路は20年前のある事件の事について語り始めた。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 緑の草原が広がる異世界。

 ここはレベル100のダンジョン。

 上空に浮かぶ城に1人の人間がいた。


『……誰かが、あのダンジョンのレベル90をクリアしたみたいね。誰かしら? 虎石くん? 金剛寺くん?

 急いで……間に合わなくなるわ』

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