第132話 休日の終わり

 夜。3人の休日が終わりを迎えていた。


 召喚獣のレベル上げを終え、部屋に戻ってきたアキラ。


「ふぅ、疲れたな。もうすっかり夜か……ん? 花子さんから着信が?」


 折り返しをしようと思った、その時。


『ガチャ』

「あ! アキラさん! 何度も電話したんですよ?」

 花子がアキラの部屋に入ってきた。


 アキラの家だが、『アキラちゃんねる』の事務所でもあるのため、前よりも気兼ねなく入れるようになった花子。


「あー、ごめん。ずっとダンジョンにいてさ。

 ふふふ、聞いてくれよ花子さん! 召喚獣のカブトムシ、もう30センチくらいに成長したんだぜっ!

 いやー花子さんにも見せてあげたいなぁ。きっと驚くよ!」

 誇らしげなアキラ。


「そ、そうですか……あの……そんなことはどうでもいいんで――」

 そんなことより、早く伝えたい老婆とのやりとりがある花子。


『ガチャ』


「あ、お2人ともいたんですわね」

 まどかもやってきた。


「お、まどかちゃん! 今日は凛をダンジョンに連れて行ってくれてありがとうね。大丈夫だった?」


「あ、はい……それはご本人に聞いた方が……」

「ん?」


 まどかの後ろから凛が飛び出す。

「お兄ちゃん! 楽しかったよ!」


「り、凛!?」

 凛もまどかと一緒に『アキラちゃんねる』の事務所に来ていた。


「す、すみませんわ……でもここは凛ちゃんの家でもあるので……」


「ああ、全然構わないよ」

『アキラちゃんねる』の事務所だが、少し前までリンも住んでいた家だ。


「お兄ちゃん! 私、レベル2のボスを倒したんだよ!」

 凜は嬉しそうにアキラに報告する。


「おお! それはすごいな! さすが俺の妹だ」


「え? お兄ちゃんは関係ないでしょ…………?」


「ま、まあそうか……!」

(危ない危ない、凛には俺が冒険者の事は秘密だったな……)


 あくまで、ダンジョン配信絡みの映像の仕事をしていることになっているアキラ。


「あの! アキラさん! まどかちゃん! ちょっと来てください!」

 大声を上げる花子。


「ど、どうしたの?」

「いいから来てください! あっ、凛ちゃん、少しお部屋で待っててねぇ!」


 ◇


 花子はアキラとまどかを廊下に引っ張り出す。


「あの……実は色々分かったことがありまして……」

 花子は2人に今日調べたことを話した。


 虎石、金剛寺の仲間だった武者小路ナオコという冒険者のこと。

 錬成師の老婆の孫のこと。

 老婆がアキラの部屋のダンジョンのことにおそらく気づいていることなどだ。


「なるほど……店長が怒り出した写真のあの女性が……お婆さんのお孫さんさんか……」


「え? 来週レベル90をクリアですか!? 大丈夫ですかね……?」

 いきなりのことに戸惑うまどか。


「……虎石さんや、店長も呼ぶって事は、俺の部屋のダンジョンのことも話すんだね?」 


「はい……勝手に決めてすみませんが、もう黙ってはいられないと思いまして……」


「大丈夫だよ。俺もそろそろ伝えようと思ってたから。

 レベル100のダンジョンにモンスター災害の秘密があるみたいだしね……」


「私は全然大丈夫ですわ。ここのダンジョンは元々、アキラちゃんねるさんのダンジョンですし。

 一般人に危害が及ぶ前になんとかしないといけませんわ!」


 アキラの部屋のダンジョンの事を明かすのは、全員賛成だった。



「よかったです……とにかく、来週虎石さんたちがアキラさんの部屋にきます。

 目の前でレベル90のダンジョンをクリアしましょう。

 そして、レベル100の誕生の秘密をお婆さんに教えてもらえます!」


 ◇


「もう、お兄ちゃんたち、廊下で何話してるんだろう?

 あーあ、暇だなぁ……

 あ! ふふふ……今のうちに、お兄ちゃんの部屋にエッチな本でも無いか探してみよっと!」


 妹の凛は、アキラたちが廊下で話している間に部屋を物色する。

「んー、無いなぁ。男の人は大体持ってるって聞いたんだけどなぁ……あっ、引き出しの中なんて怪しそう!」


 凛は引き出しを開く。

「……え? なにこれ……? 引き出しの中に洞窟……!?」





★★★★★★★★★

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