第112話 髭モジャ店長 金剛寺ユウキ

 3 人は久しぶりにアイテムショップにやって来た。


「お、久しぶりだな。政府公認冒険者様よ!」

「やめてくださいよ! 店長だって政府の人間じゃないですか! 店長の方がVIPですよ」

 髭モジャ店長こと、ダンジョン省のメンバー金剛寺ユウキが出迎える。


 冒険者研修のあったあの日、馴染みのアイテムショップの店長が伝説の冒険者で、今はダンジョン省の人間と知ってアキラたちは驚いた。


 しかし、店長はもっと驚いていた。

 レベル10.20のダンジョンで大騒ぎしていたあの3人が、まさかあそこまで強くなっていたことに……


「うるせェな! 俺はダンジョン省なんてどうでもよかったんだよ! あんまり虎石の野郎がしつこく誘ってくるからよ……」

「ああ、前にスーツの人たちがこのお店に来てましたよね?」

 アキラは以前、店長がこの店に来たスーツの男たちと揉めていたのを思い出す。


「そうだ。ずっと断ってたんだが最後は根負けしたぜ……

 それで政府公認冒険者を決めるからって、いきなり研修に呼ばれたら、お前たちがいるんだからよ! 驚いたってもんじゃねェよ!」


「ははは、店長も驚いてたんですね」


「そりゃそうだ! お前らなんて、ダンジョン配信をのんびりやってるガキだと思ってたからよ!

 それで、今日はどうしたんだ?」


「実は……すみませんが、今日アイテムを買いに来たじゃなくて……コレを持ってきました!」

 アキラはバケツ何杯分もの強化石を取り出す。


「お! 強化石じゃねェか! すごい量だな。よく集めたもんだ!」

 ダンジョンガチャや、モンスターを倒した際のドロップアイテムでコツコツ集めた大量の強化石だ。


「はい! それで……店長が前に言ってた、強化石でアイテムをパワーアップしてくれるっていう『錬成師』の人を紹介して欲しいんですが……」


「おう、もちろんいいぜ! たしかにお前たちの今のアイテムは、強化石を使う価値のあるレアアイテムだったなぁ。大したもんだよ」

「はは……ラッキーが重なりましてね」

 ガチャをパスし運を貯める裏技のことは3人だけの秘密だ。


「錬成師をここに呼んでやるから、ちょっと待ってな。暇な婆さんだから、すぐに来るだろう」

「ありがとうございます! ……お婆さんなんですね……」

「アキラさん、最近なにかと老人に縁がありますね?」

「……まあね」

 冒険者研修で敗れた剣豪老人を思い出すアキラだった。


「ああ、そういえばアキラ、お前、柳生イッセイと戦ってたな?」

「柳生イッセイ……? ああ、あの老人剣士ですか?」


「そうだ。おのじいさんはな……俺が若い頃からずっとジジイなんだよなぁ。

 それより、あのジジイがアキラと若い嬢ちゃんの事を気に入っててな。

 今度、剣のトレーニングをしてやるってハシャいでたぞ?」


「え? すごいじゃないですか、アキラさん! 柳生イッセイといえば今でも世界最強の剣士の一人ですよ!」

 大興奮するダンジョンオタクの花子。


「トレーニングか……それはありがたいな!」

「わ、私もぜひお願いしたいですわ!」

「じゃあ今度話しておいてやるよ。老人の相手をしてやってくれ」


 世界最強剣士のトレーニングを受けられることになったアキラとまどかだった。


 錬成師は10分ほどで来てくれると言う。

 それまで店長と雑談をする3人だった。





★★★★★★★★★

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