第111話 最強ゴブリン

「う……とうとう来たか……」

3人に迫りくるモンスター。相手はレベル100のダンジョンのモンスターだ。

弱いわけはないのだ。


「どうしますか!? 『脱出の羽根』使って出ますか?」

「いや……せっかくのレベル100だ。少しだけ戦ってみたいな!」

「……私もですわ! 軽く手合わせできたら良い経験になります」

アキラとまどかは剣を構える。


「もう! ほんと剣士って戦い好きですね!

危なくなったらすぐに脱出しますからね!」

花子はそういながらも、念の為『炎帝のブレスレット』を用意する。


「あれは……ゴブリンか!?」

こちらに迫るモンスターは一体のゴブリンのようだ。

今まで見たゴブリンとは違い、体が大きく、圧倒的なスピードとパワーで草原をかき分け進んでくる。


アキラに突進するゴブリン。

「よし……いくぞ!」

アキラは『ドラゴンの剣』を全力で振り下ろす。

しかし、ゴブリンはアキラの攻撃は軽々と回避する。

「なにッ!?」

クリアはできなかったとはいえ、レベル、60のモンスターにも通用したアキラの攻撃だが、ここのゴブリンには当てることもできなかった。


アキラの攻撃を避けたゴブリンに、今度はまどかが斬りかかる。

「くらいなさいッ!」

まどかは超スピードでゴブリンに向かい斬りかかる。


『カッ!』


「……うそ!?」

ゴブリンはまどかの剣を片手で白刃取りした。

呆然とするまどかにゴブリンは拳を振る。


「まどかちゃん! 危ないッ!」

アキラがまどかの体を引っ張り、ギリギリのところで攻撃を回避した。

恐ろしい勢いのパンチ。空振りしたゴブリンの拳の風圧で2人が吹き飛ぶ。

「うわぁぁあ!」


「2人とも! 伏せてください!!」

後方から花子は炎魔法を放つ。

今の花子のフルパワーに近い火の玉がゴブリンを直撃した。

炎に体を焼かれ、苦しそうなゴブリン。

しかし、ゴブリンは体を震わせ炎を消炎した。

「嘘でしょ……? やばいわコイツ……」


魔力を使い果たし、その場に座り込む花子にゴブリンは襲いかかる。


「花子さーんっ!」

ゴブリンの背後から迫り、アキラは渾身の斬撃を振る。


『ザンッ!』

ギリギリのところでゴブリンの片足を斬り落とした。


「はぁはぁ……2人共ッ! 集まれ!」

片足を失いながらも、鬼の形相で這いつくばりながらも向かってくるゴブリン。

「……恐ろしいモンスターだ……」

アキラは急いで『脱出の羽根』を振りかざす。



3人は一瞬でレベル100と書かれた扉の前にワープしてきた。

「はぁはぁ……危なかった……」

「うぅ……死ぬかと思った」

「は、花子姉さん……無事でよかったですわ……」


ギリギリのところで3人はダンジョンから脱出することができた。

「ほんとにギリギリだったね……もうレベル100は絶対にダメだ!」

「だから言ったじゃないですかぁ! 危ないって!」

怒り出す花子。


「ごめんごめん……しかし、不思議な世界だったねぇ……」

「怖かったけど……綺麗なところでしたわ」

「ま、まあ、それは確かにそうだけど……」


こうしてアキラたちは人類初のレベル100のダンジョンを体験した。


ダンジョンの扉にはレベルを表す数字が書かれている。

世界中でダンジョンの入り口が見つかっているが、レベル100のダンジョンの入り口は見つかっていない。

現在、世界で一番高いレベルのダンジョンは、北欧で見つかったレベル90のダンジョンだ。


「うん! 俺たちは今はレベル50くらいでトレーニングとレアアイテム探しをやろう。

一歩一歩、成長していこう……」


すぐに逃げ帰ったものの、アキラたちは最高難易度のダンジョンと言う貴重な経験をした。


3人はまたトレーニング、レアアイテム探しを続けることにした。

そして、強化石を集めて、アイテムをパワーアップさせる計画も忘れてはいなかった。






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