第108話 凜ーリンー
今の家から近い立派なタワマンだ。金額に金持ち配信者のアキラも目玉が飛び出た。
「ぜ、税金対策ってやつだよ……」
アキラは青ざめながらハンコを押した。
アキラの両親、妹は今日引っ越しだ。
「じゃあお兄ちゃん! またね」
「うむ、タワマンを堪能してくれ」
「お兄ちゃんはここに残るんだよね?」
「そうだね。ここを俺の職場にするよ」
「……あの人たちもここに住むの?」
妹は花子とまどかを見る。
「ああ……あの二人は……俺の部下みたいなもんだからな……」
「ぶ、部下!?」
「は、花子姉さん、妹さんの前ですわ! 抑えてください!」
花子を押さえつけるまどか。
「あ、あの……」
妹がそんな2人の前にやってくる。
「は、初めまして。
ぺこりと頭を下げる妹。
「い、いえ……こちらこそ!」
突然の妹の挨拶に戸惑う花子とまどか。
「なによ! お兄ちゃんに似ず可愛い、素直でいい子じゃない!」
「ちょっと、花子姉さん! 失礼ですわよ」
「あれ……お姉さん……もしかして、ウチの隣に住んでる人ですか?」
凜はまどかを見て驚いたように言う。
「は、はい……隣の
「やっぱり! 見たことあると思いました」
「そ、そうですか……」
近い年齢の凜に戸惑うまどかだった。
「ちょっとまどかちゃん! アンタ高校生でしょ? なに中学生に緊張してんのよ!」
「き、緊張なんて……」
仲のいい同世代が少ないまどかは、凛とたどたどしく話すことしかできなかった。
「あの……円山さん……あ、まどかさん? よかった私と友達になってください!」
「え!?」
「前から可愛い人だなぁと思ってたんです!」
「と、友達……ですか……はい、私でよかったら……」
顔を赤くするまどか。
「よかったじゃない、まどかちゃん。お友達できたね」
「ちゃ、茶化さないでください!」
こうして、アキラの妹 凛とまどかは友達になった。まどかにとっては珍しい友達だった。
「凜ちゃん! お姉さんともお友達になってくれる?」
「……え?」
花子も聞くも、渋い顔の凜。
「で、でも……お姉さんとはだいぶ歳が離れてるますし……」
「……そうよね……」
悪気の無い若さが花子を傷つけたことを凜は知らなかった。
「……凜はあんなにコミュ力が高かったのか……」
妹の成長を静かに喜ぶ兄であった。
◇
こうして家族はタワマンに引っ越し、この家はアキラの家、兼『アキラちゃんねる』の事務所となった。
「ふふふ……ここを社長室にしよっかな?」
「社長室って……ここはアキラさんの部屋じゃないですか。ここは神聖なダンジョンの入り口ですよ!」
「よし! 事務所もできたことだし、久しぶりに3人でダンジョンへ行こうか!」
「いいですね! 行きましょう!」
「レアアイテムを手に入れてドンドン売って稼がないと……」
タワマンのローンに追われるアキラは必死だった。
★★★★
お読みいただきありがとうございます。
フォロー、評価★★★、コメントを頂けますと大変励みになります。
よろければお願い致します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます