第88話 メッセージ
ダンジョン配信を終え、部屋に戻ってきたアキラと花子。
「いやー久しぶりだったけど、盛り上がったねぇ!」
「はい! やっぱりレベル25って言うこともあって、戦闘を楽しみたい視聴者も見てくれたんですかね?」
「そうだね。やっぱりハイレベルのダンジョンが配信には必要なんだろうなぁ」
視聴者の反応も良く上機嫌の2人、
「お二人ともお疲れ様でした。次は私が行ってきますわ!」
続いて、まどかの『まどかチャンネル』も久しぶりの配信だ。
まどかはピンク色のヘルメットをかぶる。アキラのフルフェイスヘルメットとは違い、顔が少しだけ見えるタイプのヘルメット。
まどかいわく、そのヘルメットがプライバシーは守られるが、自分の可愛さは分かってもらえるギリギリのラインのようだ。
アキラはまどかにカブトムシ・ドローンの『召喚獣の指輪』を貸してあげた。
これでまどか1人でもドローンで配信ができる。
◇
「皆様、こんにちは。配信を始めますわ!」
久しぶりの『まどかチャンネル』が始まった。
アキラと花子は、部屋から配信を見守る。
まどかはソロ冒険のため、無理はせずレベル20のダンジョンへと入る。
◆コメント欄◆
【まどかちゃん、久しぶり!】
【可愛い! もっとよく顔見せて】
【あれ? まどかちゃん装備変えたの?】
【え? レベル20のダンジョン!?】
『まどかチャンネル』の視聴者たちも、まどかのレアアイテムの装備、前回よりも高レベルなダンジョンに驚く。
まどかはいつも通り、モンスターを華麗に斬る。
軽やかな身のこなしは、彼女の天性のモノなのだろう。
レア度★★★★☆の『雷神の剣』もすっかり使いこなし、レベル20のモンスターでは、まどかに太刀打ちできなかった。
今回の配信はアキラから借りたドローンで迫力満点に撮影されている。
◆コメント欄◆
【まどかちゃん強ぇえ!】
【その武器なに!?】
【今日はまどかちゃんも『アキラちゃんねる』も久しぶりに配信する人、みんな強くなってるな?】
【ドローンいいね!】
まどかはボスモンスターまで辿り着き、あっという間にクリアした。
まどかも普段ならパスをする1回目のダンジョンガチャだが、配信中のため、しぶしぶ回す。
『ガチャ!』
『スピード草 レア度★☆☆☆☆ 食べると一時的にスピードが上がる』
当然ハズレだった。
(うー……パスしたかったですわ……)
『アキラちゃんねる』に続き、『まどかチャンネル』も久しぶりの配信は大盛況で終わった。
◇
「ふぅ、久しぶりに配信をしましたけど、大勢に見られてると思うと、緊張して戦いづらいものですわね」
まどかはアキラの部屋でヘルメットを外す。
「それに、ダンジョンガチャも普通に回すと、本当にザコアイテムしか出ないもんですわね。
久しぶりにレア度★☆☆☆☆なんて引きましたわ」
「はは……それは俺も思ったよ。
パスして、運をチャージするやり方がどれだけ凄いか分かったよ」
「あら? 『アキラちゃんねる』のアカウントにメッセージが届いてます。なんでしょうか? 企業案件ですかね?」
花子はメッセージを開く。
「……え?」
「ど、どうしたの花子さん!?」
メッセージを見て、驚く花子。
「あの……メッセージの送り主は政府? 行政? からで……私たち、『冒険者技能研修』っていうイベントに呼ばれてます」
「せ、政府!? 冒険者技能研修!?」
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