第84話 大魔法使い

「レ、レア度★★★★★!?」

 震え上がる花子。

 今まではずっと運が悪く、レアアイテムには縁のなかった花子だが、やっと出たレアアイテムはまさかのまさかのレア度★★★★★だった。


「す、すごいよ……花子さん……!」


「レア度★★★★★は世界でも数少ないって店長が言ってましたわ!」


 花子は『炎帝のブレスレット』を見る。炎魔法の力を大幅に上げる能力アップアイテムのようだ。

「わ、私が……こんなアイテムを使っていいのかしら?」


「もちろんだよ! むしろ炎魔法を使う花子さんにピッタリのアイテムじゃないか!」


 数百万円の価値があると言われている、世界で10個も見つかっていないレア度★★★★★のアイテム。

 花子は自分の手首に装備した。

 トップ冒険者でもなかなか持っていないレア度のアイテム、どれほどパワーアップしたのか? 早く使ってみたい花子だった。


「……うん! しっくりきます! 二人ともありがとございました!」


「しかし、ダンジョンのレベルを18に上げた途端にこのレアアイテムが出るとは……」


「ええ、もっと上のダンジョンに行きたくなっちゃいますね!」


「よし! 花子さんの炎魔法もパワーアップすることだし、一気にレベル20まであげようか!」


 やはり、レアアイテムを取るためには、ダンジョンのレベルを上げるしかない。3人はそう思い、さらなる上のダンジョンに行くことにした。


 早速、レベル20のダンジョンに入る。

 もちろん、今までで最高難易度のダンジョンだ。

 ダンジョンに入ると、今までとは違う物々しい雰囲気。

 すぐにモンスターたちが現れ、3人を取り囲む。


「来ましたね……2人とも下がってください! パワーアップした私の炎魔法を試してみます」

 やっと手に入れたレアアイテム。早く魔法使いたくてしょうがない花子は『火の杖』を構える。


「くらえ! 炎魔法!」

 花子は、杖を振り下ろす。もちろんフルパワーだ。


『ゴゴゴ……』

 巨大な火の玉が現れた。

 今までの花子の炎魔法の数十倍の大きさだ。

 ダンジョン内の温度が一気に上がる。


「……え?」

 火の玉はモンスターに向かって飛んでいき、数十体のモンスターを飲み込んだ。


「す、すごい! すご過ぎるよ、花子さん! 大魔法使いじゃないか!」


 花子の炎魔法は、一撃でダンジョン内のモンスターを全滅させた。


「これがレア度★★★★★の力なんですね……恐ろしいです……うっ!」

 花子は胸を抑え、その場にうずくまる。


「は、花子さんッ!? 大丈夫!?」

「花子姉さん! どうしましたか!?」

 心配そうに駆け寄るアキラとまどか。


「だ、大丈夫……です。ちょっと胸が苦しくなって、フラついただけです……」

 呼吸が荒い花子。


「少し休もうか……」


 しばらく休むと、体調は戻った。

「すみません。もう大丈夫です。あービックリしました!」


「……あれだけ強力な魔法だし、魔力を使いすぎたのかな?」


「そうかもしれません。今まで『火の杖』を使ってもこんな事はなかったので……『炎帝のブレスレット』のせいでしょうね」


 炎魔法を大幅にパワーアップさせられる『炎帝のブレスレット』、しかし、その強すぎる魔力に花子はまだ耐えられなかったようだ。


「これから炎魔法は気をつけて使っていこうね」


「そうですね。初めてだったんでフルパワーで使っちゃったんで、そのせいもあると思います。

 今後は加減して使っていきますね。それでも充分強いと思うので」


「気をつけてくださいね、花子姉さん。

 それにしても、私やアキラちゃんねるさんの剣もそうですけど、レア度の高いアイテムは強力だけど、使いこなすのが難しいようですわね……」


 レアアイテムは強力な分、使い手の力量も問われるようだ。




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