第85話 レベル20

 花子の炎魔法で、モンスターは全滅し、ボスステージまであっという間にたどり着く3人。


 レベル20のボスモンスターが現れた。

 凶暴そうなモンスター、10レベル代のボスとは一味違う威圧感だ。


「花子さんは休んでて。俺とまどかちゃんで戦うよ」


「すみません……」

 まだ本調子ではない花子は離れて見守る。


 ボスと対峙するアキラとまどか。

 レベル20のボスモンスター、当然、今までで1番強力なモンスターである事は間違いない。


 アキラとまどかはボスモンスターに斬りかかる。

 しかし、相手も今までのように簡単にはやられない。


「くっ、やっぱり強いな……」

 アキラたちの装備はレベル50のダンジョンでもクリアできるアイテムだ。

 しかし、まだそのアイテムを使いこなせていない3人だった。


「アキラちゃんねるさん! アレを使います!」


「アレ……? なるほど!」


 まどかは指に装備している、『分身の指輪』に手を触れる。


「分身!」

 まどかの分身が現れる。

 本物のまどかと見分けがつかないほどソックリな分身だ。


 分身はボスモンスターに斬りかかる。しかし、分身の戦闘技術はまどか本人ほど高くはない。

 ボスモンスターが強力なパンチを浴びせると、ダメージを受けた分身は煙のように消えていった。


 アキラはその隙を見逃さない。

『神速のシューズ レア度★★★★☆』を装備しているアキラは、分身に気を取られたボスモンスターの背後に回り込み、斬りかかる。

『ドラゴンの剣』は敵を真っ二つに切り裂いた。


「よし!」


「……いくら分身だからって言っても、自分そっくりな分身が殴られるのを見るのは、いい気分がしませんね……」


 ボスモンスターは消え、ダンジョンガチャが現れる。


「レベル20だし……回してみたい気持ちはあるけど……パスだね」

「もちろんです!」


 こうして、またレアアイテムマラソンが始まった3人だった。


 ◆◆◆


 その頃、日本政府は大きな問題に直面していた。


 最近、多発する人間界でのモンスターの目撃情報。

 ダンジョンが現れて30年、こんな事は今まではなかった。


 何かが変わってきているのかもしれない。

 モンスター災害に備え、『ダンジョン省』という新たな組織ができた。


 異世界でしか生存できないモンスターが人間界に現れた。

 つまり、ダンジョン内でのアイテムや魔法が、人間界で使える日が来るのかもしれない。

 いずれ来るかもしれないモンスター災害に備え、有力なダンジョン冒険者を今のうちからピックアップしておこうと、民間人の知らないところで政府は大騒ぎになっていた……





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