第73話 出現確率

 翌日、さっそくアキラと花子は、昨日まどかの言った『ガチャをパスをすれば運が貯まり、良いアイテムが出るかも』という仮説を確かめることにした。

 まどかは学校のため夕方まで来れないので、2人だけでダンジョンへ向かう。


「じゃあ行こうか。レアアイテムマラソンだ!

 花子さん、くれぐれもガチャひいちゃダメだからね?」

 花子に注意をするアキラ。


「わかってますよ! アキラさんこそ、いつもの癖でうっかり引かないように気をつけてくださいね」


 1人づつ別々のダンジョンへと入っていく。

 何周もするために、レベル10前後のラクなダンジョンだ。


「さて、さっさとクリアしちゃおうか」

 アキラはあっという間にダンジョンをクリアする。

 レベル10くらいでは、アキラを苦しめるもうモンスターはいない。

 ボスを倒し、いつものようにダンジョンガチャが現れる。

 今までは飛びついてガチャを回していたが、今日は違う。

「えーっと、ガチャに近づかないで、回す意思を見せなければ……」

 まどかのパス機能を実践するアキラ。


 10秒後、回されないと分かったのか、ガチャが姿を消す。

「お! 消えた!?」

 それと同時に、クリアしたアキラはダンジョンの入り口に飛ばされた。


「パスか……本当にできた……」

 ほぼ同時に花子も戻ってきた。


「あ、アキラさん! パスできましたよ!」

 花子も成功したようだ。


「俺もできたよ。せっかくのガチャを回さないなんて、ちょっともったいない気になっちゃうけどね……」


「仕方ないんです。とりあえず5回目までパスしてみましょうか?」


「そうだね。パスをすると、レアアイテムが出やすくなるのか確かめよう」


 2人はそれからも、黙々と同じダンジョンをクリアする。

 当然、ガチャが現れても回さずにパスだ。


 そして5回目のダンジョンガチャが現れた。

「よし! 頼むぞぉ」


 アキラの体感的には、このレベルのダンジョンガチャで出てくるアイテムは

 レア度★が90%

 レア度★★が10%以下

 レア度★★★以上は数%というイメージだ。


『ガチャ!』

 アキラは期待を込めて力強くガチャを回す。すると、


『レア度★★★☆☆ 素早さのブーツ』

「おぉ!? レア度★★★☆☆!? これは……成功か!?」


 アキラがロビーに戻ると、先に嬉しそうに花子が待っていた。

「アキラさん! 見てください。レア度★★☆☆☆のアイテムが出ましたよ! ……って、アキラさん? それは?」

 花子はアキラが持っている『素早さのブーツ』を見た。


「ふふふ、俺はレア度★★★☆☆だぜっ!」

 アキラは勝ち誇ったように花子に見せつける。


「す、すごい! 普段ならレア度★★★☆☆のアイテムなんて、ほとんど出ませんよね!?」

 驚く花子。


「うん、花子さんのレア度★★☆☆☆のアイテムだって、10回に1回引けるかどうかってトコだよね」

 パスをした2人とも普段の確率より良いアイテムを手に入れた。


「まだ、サンプル回数が少ないので、何とも言えませんが……まどかちゃんのこの裏技、使えそうですね」

 花子はニヤリと笑った。


「……そうだね。コレはすごい発見かもしれない……」


「もう少し試してみましょう。

 あの、よかったら2人で一緒に行きませんか?

 その方が高いレベルのダンジョンクリアできますし!」


「よし、2人で行こうか!」

 花子はアキラに時間短縮のため2人で行こうと提案する。


「次はレベル15のダンジョンで、10回ガチャをパスしてから回してデータを取りましょうか!」


 この技を使えばレアアイテム出現確率を上げられそうだ!

 2人は興奮をしながら、ダンジョンへ入っていった。

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