第72話 大発見!?

 本日50回目のレベル1のダンジョン。

 まどかはスライムを華麗に捌いていく。


 はじめは重かった剣だったが、徐々に慣れてきた。

 モンスターをすべて倒し、ボススライムを一撃で倒す。


 剣を振るうスピードが上がっているのが、自分でもわかる。


「ふぅ……ちょっとは強くなってるみたいだわ! さあ、戻りましょ!」

 ボススライムを倒したまどかの前にダンジョンガチャが現れる。

 かれこれ50回パスし続けたガチャだ。

 今まではこのガチャに目もくれず、無視し続けたまどかだったが……


「うーん、これが今日最後のガチャだし……1回くらい引いておこうかしら?」

『ガチャ!』


 久しぶりにダンジョンガチャを回す。

 ここはレベル1のダンジョン、どうせ出てくるアイテムは木の棒に決まっている。

 しかし、


『スライムの剣 レア度★★☆☆☆』

「え……? 木の棒じゃないの!?」


 久しぶりに引いたダンジョンガチャから、思いもよらないアイテムが飛び出た。

 当然、このスライムの剣も、木の棒に比べればいいアイテムと言うだけで、大したアイテムではない。


「久しぶりやったガチャが……コレって……?」

 50回ぶりに回したガチャで、このダンジョンではめったに出ないレア度のアイテムを引けた。

 そんな、偶然あるのだろうか? まどかはスライムの剣を握り締めダンジョンの外へ出る。


「あ、お疲れ様。本当にあっという間だったね」

 ロビーに戻ってくると、アキラと花子が待っていた。


「すみません。お待たせしました」


「あれ? まどかちゃん、その剣はどうしたの?」

 花子はスライムの剣に目をやる。


「実は……これたった今、ダンジョンガチャで出てきたんです。今日最後だから引いておこうかな、って思って。

 レア度★★☆☆☆で、大したアイテムでは無いんですけれども……珍しいですよね。レベル1のダンジョンでこのアイテムは……」


「確かに不思議ね……。まどかちゃんは50回パスし続けて、久しぶりにガチャを回したらこれが出たのよね?」

 花子は神妙な面持ちで言う。


 そして、アキラは何かを閃いたように口を開く。

「もしかして……ガチャを引かずにパスをすると、運が溜まるというか……パスした分がまとめて次回のガチャにいくなんてことないかな……!?」


「ええ。私もそうじゃないかと思っていたんですわ。もしそれが本当だったら……すごいことになりますわよね?」


「すごい! まどかちゃん! 大発見じゃないの?」

 花子はまどかに飛びつき喜ぶ。


「いえいえ、まだ分かりませんよ……でも早く試してみたいですわ!」


「ああ……! 今日はもう遅い。明日検証してみようか」

 期待に胸を膨らませる3人だった。

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