第71話 50回
数時間ぶっ通しでダンジョンに行き続けた3人。
昼時になり、アキラの部屋に戻ってくる。
「ふう、疲れたね。昼でも食べよう」
昼食をとる3人。
「成果はどう?」
アキラは花子とまどかに確認する。
「私は全然ですね。1人でもダンジョンをクリアできましたけど、レアアイテムは手に入りません」
花子は残念そうに言う。
「私はトレーニングだけですわ。ダンジョンガチャも回すのが面倒になって回せませんわ」
「え? ガチャを回さないなんてできるの?」
ダンジョンガチャは、毎回必ず回してきたアキラは驚いた。
「ええ、私も初めはびっくりしたんですけれども、ガチャが現れても近づかないで10秒くらい放っておくと、ガチャを回さないでも外に出られましたわ」
まどかはパスの話をする。
「へぇ! それは知らなかった! まぁレベル1のガチャじゃ、あの木の棒しか出ないしね……」
アキラは身をもって知っていた。
「そうなんです。お二人みたいに少し上のレベルだったらレアアイテムの可能性も多少はあるんで、期待して回すんですけど……さすがにレベル1でレアアイテムが出る確率なんてほぼゼロですからね。あっという間にロビーが木の棒で埋め尽くされますわ!」
あくまで今はトレーニング目的でダンジョンに入っているまどか。
「そういえば、これをいくつか手に入れたんだ。よかったら、まどかちゃんにも1つあげるよ」
アキラは『脱出の羽根』をまどかに渡す。
「あ! これって危なくなった時に使って、ダンジョンから脱出できるやつですよね? ありがとうございます」
「レベル1のダンジョンに行ってるうちは必要ないと思うけどね。念のために持ってて」
昼食を終え、3人はすぐにダンジョンへ向かう。
のんびりしている時間などない。すっかり彼らはレアアイテムハンターになったのだ。
それからも、まどかはひたすらレベル1のダンジョンに数時間、何往復もこなした。。
スライムを1体1体、確実に斬っていく。
剣捌きは初めの頃と比べると格段に成長していた。
ボススライムを倒し、いつものようにガチャをパスする。
まどかがロビーに戻ると、アキラと花子が待っていた。
「お疲れさん。俺たちはそろそろ終わりにするけど?」
すっかり夜だ。
「あ、そうですわよね……最後に一回だけいいですか!? 5分もあれば終わると思うんで」
まどかはアキラにお願いする。
「もちろんだよ。熱心だね。何回くらいクリアしたの?」
「うーん…… 50回くらいですかね? 数えるのもやめましたわ」
「ご、50回!? 大丈夫? ぶっ通しでやってるみたいだけど?」
オーバーワーク気味のまどかを花子は心配する、
「50回と言っても、レベル1のスライムですわ。最後に今日の総復習をしてきます」
まどかは本日最後のダンジョンへと入っていった。
「いやぁ……まどかちゃん、すごいね。あれは強くなるよ……」
「えぇ……若さってやつですかね……?」
まどかの熱意に脱帽する2人だった。
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