第69話 基礎からしっかり

ダンジョンに行けることになり、大喜びのまどか。

以前まで脅迫し、ダンジョンを使わせてもらっていたまどかだったが……


「お招きいただきありがとうございますわ。これつまらないものですが、よかったらお召し上がりください」

まどかはご丁寧に高級そうな包みに入った菓子折を持ってきた。脅迫してきたことへの、せめてもの罪滅ぼしのつもりだった。


「ど、どうしたんだ、まどかちゃん……?」

あまりの丁寧さに驚くアキラ。


「いえ……お二人にはお世話になっているので……

そ、そんな事はどうでもいいんです! 早くダンジョンにいかせてください!」

慣れないことをしてまどかは顔を赤くする。


「そうね! いきましょう。ちなみにまどかちゃん、私はこんなアイテムもゲットしたわ」

花子は先ほど手に入れたばかりの火の杖をまどかに見せる。


「え? それって魔法アイテムじゃないですか、花子姉さん?」


「そうなのよ! 炎魔法が使える。これで私も魔法使い、魔女っ子なわけよ!」


「……ま、魔女っ子かどうかは分かりませんが……よかったですね」

返答に困るまどかだった。


「さっきまで2人一緒じゃなくて、1人ずつダンジョンに入ったんだ。同時に何部屋使っても大丈夫みたいだけど、まどかちゃんも1人でいく?」


「あ、1人でも使っていいんですか? ありがたいですわ」


「俺たちは10レベル以上のダンジョンに行くつもりだけど、まどかちゃんはどうする? 慣れてない新しいアイテムだし、無理はしないほうがいいと思うけど?」


「そうなんですわ……新しい剣は力はありそうなんですけど、重いんです……。しばらくはこの剣に慣れるためのトレーニングをしようと思ってますわ」


「おー、トレーニング! 本格的だね」


「いえいえ、基礎からしっかりやらないと強くはなれませんわ!」



ロビーに降りる3人。

アキラはレベル15、花子はレベル12の扉を、そしてまどかはレベル1の扉のを開く。


「レベル1か……ほんとに基礎からやるのね」


「はい、まずはこの武器に慣れたいんですわ! 花子姉さんはレベル12ですか。お気をつけ下さい。アキラちゃんねるさんも」


「ああ、まどかちゃんもがんばって!」


3人はそれぞれのダンジョンへ入っていった。



レベル1のダンジョンに入ったまどか。


「レベル1は久しぶりね。初心者のに一度だけ来たことがあるけど、さすがに弱すぎて拍子抜けした覚えがあるわ。無料じゃなきゃ絶対来ないわね!」


スライムたちが姿を現す。

「さあ……練習相手になってちょうだいね!」


スライムはまどかに飛びかかる。

とは言っても、レベル1のダンジョンのスライムだ。

小学生でも避けられる位のスピードだ。


「うぅ……こんなに遅かったかしら!? でもいいわね。一体一体、しっかり見極めて……ハァッ!」


まどかはスライムの動きをしっかり見て、体のど真ん中を真っ二つに斬る。

踏みつければ倒せるくらいのスライム相手だが、まどかは真剣な表情で斬る。


「くっ……やっぱり重いわね! ドンドンかかってきなさい!」

重い剣を体の一部のように扱えるようになるまで。

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