第68話 魔法アイテム

 レベル11のダンジョンをクリアした花子。

 お待ちかねのダンジョンガチャが現れる。

 虹色の輝きは無い。レインボーガチャではなく、普通のガチャのようだ。


「うーん、残念ながら、普通のガチャのようね.。まあなかなかレアアイテムなんて出ないわよね」

 花子はガチャを回す。


『火の杖 レア度★★☆☆☆ 炎魔法レベル1が使える』


「え!? これって……魔法アイテムじゃないの?」

 ダンジョンガチャでは、剣や防具以外にも、魔法アイテムが出ることもある。


「レア度★★☆☆☆ってことは、大した事は魔法アイテムでは無いんでしょうけど初めて見たわ」

 花子は出現した火の杖を手に取る。木で出来た杖の先端に小さい赤い石が付いている。


「そっか……魔法って手もあったわね……」

 何かを思いつく花子であった。


「毛虫は最低だったけど、何はともあれ、無事にクリアできてよかったわ。

 あ! そういえばアキラさんは大丈夫だったのかしら? 電話するとか言ってたけど……やっぱり無理だったのね」


 ◇


 ガチャを回し、ダンジョンの外へ送り飛ばされる花子。

 ほぼ同時にアキラもダンジョンをクリアしてロビーに戻ってきた。


「あ、花子さん。よかった。無事クリアしたみたいだね。ん? その杖はなに?」

 アキラは花子の持つ杖を見る。


「ふふふ、ダンジョンガチャでゲットしたんです! アキラさん、これからは魔法の時代ですよ」


「ま、魔法? それは魔法アイテムなのか!?」

 召喚獣の指輪は持っているアキラだが、魔法アイテムを見るのは初めてだ。


「そうです! 炎魔法が使える火の杖です」

 花子は誇らしげに杖を見せびらかす。


「炎魔法か! なかなか珍しいアイテムだね。

 そういえば電話をしたけど、ダンジョン内は圏外で通じなかったよ」


「あーやっぱりそうですよね。このロビーを圏外ですもんね。とりあえず一度、アキラさんの部屋に戻って休憩しましょうか」


 ◇


「それにしても大変だったんですよ。私の大嫌いな毛虫が出るダンジョンだったんです!」


「ははは、花子さん家虫苦手なんだ」


「……いや、得意な人いるんですか!?」

 アキラの部屋で一休みする2人。


「あら、メールが来てる。……あの、アキラさん、まどかちゃんがダンジョンを使いたいそうなんですが」


「え?」

 アキラは窓の外を見る。

 隣の家の窓にへばりつき、こちらの部屋をにらみつけているまどかの姿が……


「よ、呼んでもいいですかね……」


「あ、ああ……約束だしね……

 それにしてもいつの間にメールをする仲になったのさ?」


「ふふふ、女性配信者同士、情報交換が必要な時もあるんですよ。じゃあ、まどかちゃん呼びますね」

 花子は隣の家のまどかに手を振り、コッチに来るよう招く。

 窓越しだが、まどかの表情がパァーッと笑顔になるのが分かった。


「よし! まどかちゃんが来たらダンジョン冒険再開だ!」




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