第51話 プリキュア

 まどかは続々とアイテムをダンボールから取り出す。




「次は……ヘルメットに合わせたピンクの衣装ですわ!」




 お姫様のようなヒラヒラの衣装だ。


 動きづらいそうだな……と思ったが、黙っていたアキラだった。




「子供っぽい服ですね……まどかちゃんはプリキュア世代ですかね? ボンバーマンにプリキュアって……」




「うるさいわね、おばさん! 私はあなたと違って若いのよ!」


 バカにしたように笑う花子に怒るまどか。




 その後もゴツいブーツや武器の剣など次から次へと出てくる。




「どんだけ買ったんだよ……爆買い中国人か!?」




「いいじゃない! アルバイトで頑張って貯めたお金ですわ!」




 ◇




 新しい衣装に着替えるまどか。




「ど、どうですかね……?」


 すこし恥ずかしそうに聞く。




 アイドルのようなヒラヒラでフリフリな、しつこい服だが、不思議とまどかにはよく似合っていた。




「いいね! 似合ってるよ!」


「うん……うるさい感じがピッタリですね」




「うるさいって……失礼ね!


 あ、そういえば昨日の『アキラちゃんねる』の録画見ましたわ。あなたたちも新アイテム買ったようですわね」




「お! そうなんだよ。見てくれよ!」


 アキラは嬉しそうに『銀の盾』や『鋼の剣』を見せびらかす。




「ぐぐ……たしかに良いアイテムのようね」


 悔しそうにアキラのアイテムを見るまどか。




「そうだろう、どうだい? この輝き! さすがはレア度★★★☆☆って感じだろ?」




「レ、レア度★★★☆☆!? 初めて見たわ……いくらするのよ……」




 驚くまどか。この新アイテム達は『アキラちゃんねる』の全財産で買った、勝負のアイテムだ。


 高校生のまどかには、とても手の届かない値段なのだ。




「ふふふ、ちなみに……私のこの『防御の指輪』もレア度★★★☆☆ですよ?」




「えぇ!?」


 花子は指につけた輝く指輪をまどか見せつける。




「くっ……金に物を言わせて! 下品なチャンネルだわ!」


 悔しそうに歯を食いしばるまどかであった。




「あらあら、お子ちゃまにはとても買えないでしょくね! フフフ!」




「ク、クソババア! 大人気おとなげないわね!」




「花子さん……最近はアンタが悪い気がしてきたよ……」






 準備を終えたまどかはいよいよダンジョンへ向かう。


「さあ! 行くわよ。あなた達も準備は良いかしら?」




「あ、俺達も行くの?」




「当たり前でしょ! アキラちゃんねるのダンジョンは初めてだし、顔出し配信なんだからカメラマンが必要なのよ!」


 今までは『まどかチャンネル』はネックレス型のカメラで、前方だけ映せばよかったのだが、今日からはまどか本人を映す必要がある。




「ああ、俺たちはカメラマンか……」


「まあ……アキラさんのダンジョンで好き勝手されたら困りますからね。監視がてらついて行きましょう」




「……花子お姉さんは別に来なくてもよかったんですけどね……」




「ん? なんか言ったッ!?」




「いえ……なにも……」




「はは……。じゃあ……行こうか!」



 アキラは引き出しを開く。



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