第52話 はしご
「あら? はしごを下りていくのね? ちょっと怖そうですね……」
引き出しをのぞき込むまどかが言う。
「そうなんだよ。まどかちゃんもはしごは下りたことないでしょ?
俺が先に行って、下で待ってるよ」
落ちそうなったら、アキラが下から支えると言うと、
「何言ってるんですの!? 私が先に下りますわ!」
アキラの言葉に怒り出すまどか。
「ええ!? 大丈夫? 危なくない?」
心配するアキラ。
「バカ言わないでください! 私スカートなんですよ?
アキラちゃんねるが下にいたらパンツ丸見えですわ!」
まどかはスカートの裾を指さす。
「ああ、そっか……そういう意味じゃなかったんだけどなぁ……」
「まったく、油断も隙もありませんね!」
10歳年下に説教されるアキラであった。
その時、花子は昔のことを思い出していた。
「あれ……? アキラさん、私が初めてここに来た時って……仕事帰りでスカートでしたよね……?」
「え……?」
マズイ! という表情のアキラ。
顔を赤らめる花子。
「くっ……やっぱりアキラさんは変態ですねっ!」
「そんな……」
(ああ、たしかにあの時はハッキリと見させてもらったな……)
◇
はしごを下り、ダンジョン入り口の扉の並ぶロビーに着く3人。
「ちょっと、なんですの……これ?」
まどかは扉の前で目を丸くし立ちすくむ。
「し、信じられないわ……行きたいレベルのダンジョンを選べるっていうの!?」
「あー、やっぱりこのダンジョンは珍しいのかな?」
「珍しいなんてもんじゃありませんわ!
普通は『A町のダンジョンはレベル5、B町のダンジョンはレベル10』といった風になっていますわ!
こんなの……天国ですわッ!」
まどかは目を輝かせ、大興奮のようだ。
「そっか……そんな良いダンジョンが俺の部屋にできるなんてな……」
「本当、アキラさんはラッキーでしたね……」
アキラと花子はこの幸運を
「さて、じゃあいつも通り、レベル5にしようかしら?
……そういえば『アキラちゃんねる』の最高レベルはいくつだったかしら?」
「えーっと、俺たちはレベル10が最高かな? でもアイテム新しくしたら楽勝だったから次はもっと上のレベルに行くつもりだけど」
アキラは何気なく言った。
「レ、レベル10!? たしかに配信では強そうなゴリラと戦ってましたわね……
くっ、な、なら私はレベル11に……」
『アキラちゃんねる』に
「バカなこと言わないの! 私たちは2人でレベル10よ。このダンジョンは初めてなんだから無理のないレベルにしなさい!
ここで死なれでもしたらコッチも迷惑よ!」
花子は厳しく言う。
「うぅ……分かったわよ……じゃあレベル5にするわ……」
しぶしぶ納得するまどかだった。
★読者様へ★
お読みいただきありがとうございます。
たくさんのフォロー、評価、励みになります!
少しでも続きが気になる! 面白い!と思って頂けたら評価★★★頂けますと嬉しいです(^^)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます