第48話 ゴリラ再び

『アキラちゃんねる』の配信が始まると、すぐにコメント欄にコメントで埋まる。


 ◆コメント欄◆


【名無し 花子キタ――(゜∀゜)――!!】



【名無し お? 装備変えたのか?】



【名無し 盾か、今どき珍しいな】



【名無し 花子さん可愛すぎ……】



 やはりマスク姿とは言え、花子の人気は凄まじい。


「さあ、今日は新装備なので……前回苦戦した、レベル10のダンジョンにもう一回挑戦しようと思います!」

 アキラは鋼の剣をかかげる。


 ◆コメント欄◆


【名無し またレベル10かい!】



【名無し あー、あの激つよゴリラかw】



【名無し もっと強いレベルのダンジョン見てーよ!】



「それでは行ってみましょう!」


 2人はレベル10の扉を開ける。


 同じレベルのダンジョンでも、中に住むモンスターが違うこともあった。

 しかし、扉を開けると、中にはゴリラモンスターの姿が。

 今回は前と同じゴリラモンスターのダンジョンのようだ。


「お、また会ったなゴリラ!」

 新アイテムを装備したアキラはゴリラに恐れることは無い。

 前を進むアキラの姿を見るや襲い掛かる。


「来たな……」


 ゴリラはアキラに拳を振り下ろす。

 前回は必死に鉄の剣で受け止めていた拳をだ。


『キンッ!』


 しかし、今日のアキラは『銀の盾』でゴリラのパンチを軽々と受け止める。


「お!? さすがレア度★★★☆☆のアイテムだ!」


 防御力の上がったアキラ相手には、ゴリラのパンチは足止めにもならなかった。

 アキラは襲い掛かる攻撃をさばきつつ、『鋼の剣』を握る。


「オリャー!」


 鋼の剣はゴリラを斬り割く。

 今までの鉄の剣より鋭い切れ味だ。

 前回はアキラがゴリラの足を刺し、動きを止めて、後ろの花子の電気銃で仕留めていた。


「よし! この武器なら1人でもゴリラを倒せるぞ!」


 アキラは次々とモンスターを斬り払っていく。


「アキラさんすごい!」

 そんなアキラを後ろから眺める花子。


「でも……強くなったけど、これじゃ私いらなくないですか……?」

 握りしめた電気銃を悲しげに見つめる花子であった……



 そうして2人はあっという間にボスステージまでたどり着く。


「ふふふ、楽勝だったね! もうボスステージに来たぜ!」

「フン! 楽しそうですね!」


 パワーアップを実感し、嬉しそうなアキラに対して、退屈な花子。


 ◆コメント欄◆


【名無し おおー新アイテム強えーな!】



【名無し おいアキラ! お前出しゃばりすぎだ】



【名無し アキラひっこめ! 花子さん出せ!】


「な、なんだと!? せっかく頑張ったのに……」

 アキラの活躍ばかりで、花子ファンからクレームコメントが飛び交う。


「フフ! アキラさん、コメント欄読みましたか?

 今回のボスは私1人に任せてください! 私だって新アイテムの性能を試してみたいんですよ」


 花子は電気銃を構えボスステージに上がる。


 ◆コメント欄◆


【名無し うおぉぉお! 花子!】



【名無し 花子、初のボス戦!】



【名無し がんばって花子!★チップ2000円】



「視聴者は私を求めているみたいですね!」

「うう……分かったよ、でも無理しないで! 危なくなったら助けに行くよ」


 新装備でボスゴリラと戦いたかったアキラだが、今回は花子に譲ることにした。




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