第7話 プロデューサーへの質問

 プロデューサーを向かい入れ、新体制になった『アキラちゃんねる』

 とは言ってもアキラはまだダンジョンについて知らないことが多すぎた。


 熊埜御堂くまのみどうプロデューサーへの質問タイムが始まった。



 Q 俺の部屋にダンジョンが出来たことは警察とかに届けるべき?


 A うーん、ここは私有地ですからね。報告する義務はないはずです。

 それに家にダンジョンがあるなんてバレたら冒険者が押しかけますよ。





 Q 熊埜御堂くまのみどうさんも一緒にダンジョン冒険するの?


 A ……私は宇宙一の運動音痴です。それに戦いは好みません。

 カメラマンやプロデューサーとしては同行しますが、戦うのはいちじくさんだけでお願いします。





 Q ダンジョン配信者って儲かるよね?


 A やり方次第ですね。そのために私がいます!

 広告収入、企業案件、コラボグッズ……野望が止まりません!!





 Q 配信で収益も良いけど、レアアイテムなんかゲットして一攫千金したいよね!


 A それが出来れば最高ですけど、レアアイテムは高難易度のダンジョンじゃないと滅多に取れません。

 私たちの力じゃ当分難しいでしょうね。





 Q どうすれば冒険者として強くなれるの?


 A 元々の身体能力も大切ですが、一番重要なのはダンジョン内でゲットした武器、防具、魔法です。

 手に入れたアイテムを装備すると強くなれます。

 ダンジョン内では現実世界のボクシングチャンピオンより、強い装備をした一般人の方が強いです。





 Q ダンジョンのアイテムって現実世界でも使えるの?


 A 剣やアイテムは現実世界に持ってこれます。まあ剣をこっちの世界で使ったら普通に犯罪ですけど。

 レアアイテムや鉱物は観賞用やエネルギー源として高く売れます!

 魔法は現実世界では使えません。異世界であるダンジョン内だけです。





 Q レアアイテムって高いの?


 A 高難易度ダンジョンのアイテムは数百万円から数千万円も珍しくありません。

 中には億越えのアイテムあるとか? ダンジョン内で獲れる鉱物なんかでもお金になります。





 Q 他になにか注意することはあるかな?


 A ダンジョンは現代の宝島です。家にダンジョンがあるとバレると良からぬ人間が寄ってくることはまちがいありません! そのために顔出しは避けましょう。

 どこのダンジョンから配信してるのかはボカしていきましょう!



 一通り質問を終えたアキラ。熊埜御堂くまのみどうの知識量に驚いた。


「なるほど……顔や名前からここの住所を特定されると大変だしね」


「はい。『アキラちゃんねる』なんてふざけた名前で始めてしまっていますが、これからは気をつけましょう」


「失礼だな。わかったよ、熊埜御堂くまのみどうさん!」


「……あと、念のためなんですけど、私達って苗字すごい珍しいじゃないですか?


 いちじくアキラと熊埜御堂くまのみどう花子、どちらも相当少ない苗字だ。


「これから一緒に冒険すると、ライブ配信中につい名前を呼んじゃう時とかあると思うんですよ?」


「たしかに……『熊埜御堂くまのみどうさん! 危ない!』とかね?」


「そうです! その時のために今後は名前で呼び合いましょう。『アキラさん』なら身バレの心配はありません」


「なるほど! それはいいアイデアだ! えーっと、熊埜御堂くまのみどうさんの名前って……?」


「……花子です」


「ふふ……これからは『花子さん』と『アキラさん』だね。花子さん!」


「なんか笑ってませんか?」


「珍しい苗字はシンプルな名前になりがちだよね……

 そ、それにしても、名前で呼び合うなんて……なんか恥ずかしいな! へへッ!」


 女性を名前呼びなど、人生で妹だけの26歳童貞は照れていた。


「は? 仕事上の呼び名です。コードネームみたいなもんですよ。アキラさん」


「……はい。花子さん」


 名前で呼び合う若い男女。初めてのロマンティックな関係に思ったアキラの心は一瞬で砕け散った。




「今後、いちじく熊埜御堂くまのみどうは封印しましょう。日ごろから気をつけないとつい言ってしまうかもしれません」


「わかったよ、花子さん。身バレ対策か……そんなことまで気にかけてくれるなんて、本当頼りになるよ!」


「し、仕事ですから! すべては配信者として天下を取るためです!」


 少し赤くなる熊野御堂くまのみどう……いや、花子。


「さあ、さっそくダンジョンへ行きましょう!」





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