⑦

 店番をナベリウスに任せた俺は、マキュリーと一緒に歩いていた。今日は、二人で買い出しをするわけでも、ギルドやバンクに行くわけでもない。


 先日、マキュリーからケイオン代表が俺を読んでいるとの事だった。ある程度やらなければいけないものが終わったので、今日代表に会う事に決め、こうしてマキュリーと共にテローゾ本社へと向かっている。


「マキュリー、お土産って何がいいかな?」

「別にいらないんですよ」

「そういうわけにいかないんだよな。おっ、ちょっとあそこ見てみよう」


 マキュリーは別に必要はないと言うが、やはり手土産の一つも無いと言うのは、駄目だと思うので、手頃な物を買っていこう。


 そう思い入った店は、焼き菓子専門店だった。


「どれがいいと思う?」

「それなら、これとかでいいと思いますよ?」


 マキュリーが手に取ったのは、様々な種類の焼き菓子が入っている袋に入っている物だった。


「悪くないな、流石だ」


 それを購入し、もちろん領収書もしっかりと貰い、俺はとマキュリーは店を出る。俺だけだったら、もっと迷っていた事間違いない、こういう時に一緒に居てくれると助かる。


 代表達の物を買うのと一緒に、買っていた物もマキュリーに渡す。


「えっ?」


 手渡されたマキュリーは驚きながらも受け取ってくれる。それは、さっきの焼き菓子の種類を少なくした物だ。ちょうど一人分ぐらいだったので、ちょうどいいと思い購入した。


「いいですか?」

「日頃、頑張ってくれているからな」

「そんな、ありがとうございます」


 むしろ、こんな物で申しわけなくもあるが、喜んでくれているなら良かった。今

度、ウーラオリオギリュシア支部のみんなで美味しい物でも食べに行くのもありだな。


 テローゾ本社へと着くが、相変わらずここは、忙しいそうだな。建物自体は五、六階建てぐらいの高さで、一階が商品の販売部分になっているが、ここはいつ来ても人がたくさん居る。羨ましい。


 従業員の方に声を掛け、俺とマキュリーはケイオン代表達の元へと案内される。何度ここに来ても、慣れないんだよなー。


 部屋の中に入ると、いつもの席に代表は座っておらず、俺達を待っていたのだろう。部屋の中央にあるソファーに座っている。


 そして、その代表の隣には、マイアさんも座っていた。顔色は、あの時はとは違っ

て、すごく良い所を見ると、体調は良さそうだ。


「お待ちしておりました。どうぞ、お掛けください」


 ケイオン代表は立ち上がり、そう言ってくれるので、そちらへと移動する。座る前に、渡さなければ。


「お久しぶりです。これ、お口に合えばいいのですが」


 そう言って、渡したのは、先ほど購入した焼き菓子の袋だ。


「これは、そんな気を遣っていただかなくて良かったのに、お呼びしたのはこちらですから……おっ、ここの焼き菓子は美味しくて、評判が良い所のですね。ありがとうございます」


 喜んで貰えて良かった。マキュリー、本当にありがとう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る