暴君ハバネロ
放課後、私は図書室で勉強をしていた。定期テストが近づいてきて、少しでも成績を上げたいと思っている。そんな私の隣に座ったのは、辛いもの好きで有名な友達、亜美だった。
亜美はいつも、びっくりするほど辛いものを平気な顔で食べている。以前、一緒に昼休みに激辛ラーメンを食べに行ったことがある。ラーメンの赤いスープを見るだけで涙が出そうだったけれど、亜美は「これくらい普通だよ」と笑いながら、スープまで飲み干していた。その時、私は初めて辛さに挑戦し、汗だくになりながら何とか食べ終えた。
もう一つの思い出は、夏祭りで激辛カレーを食べた時のこと。亜美は「これ、本当に美味しいよ」と私にも勧めてくれた。半信半疑で食べてみたものの、その辛さに驚いてしまった。口の中が火を噴くような感覚だったが、亜美はまるで平気な顔で美味しそうに食べていた。その姿が、私にはちょっとした憧れでもあった。
そんな亜美が、今日はお菓子を分けてくれると言う。
「お菓子持ってきたんだけど、一緒に食べる?」
そう亜美が言った瞬間、私は嫌な予感がした。案の定、亜美の手から出てきたのは、真っ赤なパッケージの『暴君ハバネロ』だった。
「これ、超美味しいんだよ」
亜美が笑顔で差し出してきた。私は少し戸惑いながらも、一つもらって口に入れた。瞬間、口の中に広がる辛さに目を見開いた。しかし、その辛さの中にある独特の風味が、なんだかクセになりそうだった。
「どう、美味しいでしょ?」
「すっごい辛いよ!」
「辛いから良いんだよ!」
亜美は辛いものがどれだけ勉強に効力があるか、熱心に語り始めた。
「まず、辛いものを食べると目が覚めるんだよね。特に夜遅くまで勉強する時には効果抜群だよ」
確かに、その辛さで目が覚める感覚はあった。
「それに、脳が活性化するから集中力が上がるんだって。私もこの暴君ハバネロを食べながら勉強すると、頭が冴えてくる気がする」
亜美は続けた。実際に、亜美は成績が良く、辛いものの効力を信じているようだった。
「最後に、ストレス解消にもなるんだよ。辛さで一瞬だけど他のことを忘れられるし、スッキリするの」
亜美は楽しそうに話した。その言葉に、私は少しずつ辛いものの魅力を感じ始めていた。
「暴君ハバネロ、本当に好きなんだね」
私がそう言うと、亜美は嬉しそうにうなずいた。
「うん、大好き。これで一緒に頑張ろう!」
私も辛いものの魅力に気づき、少しずつその辛さを楽しむようになった。亜美と一緒に勉強しながら、暴君ハバネロを食べる時間が楽しくなってきた。
「私も、暴君ハバネロ、好きになってきたかも?」
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