うるう年

 今年は、二月二十九日がある。

 うるう年の日だ。


 四年に一度しか訪れない日だから、普通の人にとっても特別な日だ。

 けれども、私にとっては、それ以上に特別な日。

 うるう日の日は、いつだって嬉しい気持ちになるんだ。



 なぜなら、その日が、私にとって本当の誕生日だから。



 他の人たちは毎年誕生日を迎えるんだけれども、私は四年に一度しか誕生日を迎えられない。

 それはとても寂しいこと。


 二月二十八日に誕生日を祝うというのも気分が乗らないし、三月一日に祝うのもおかしい。

 だからって祝わないでいると、気づいたらいつの間にか歳をとっている。


 毎年、誕生日の前日まではワクワクして過ごせるんだけれども、誕生日の当日だけが来ないんだ。

 だから、余計に悲しくなる。



 クラスの友達から私だけ、無視をされてるみたいな疎外感。

 世界から見放されてるような、そんな気分なんだよ。



 みんなは、何も考えなくても、生まれた日を祝われてるのにな……って。

 私だけ祝われない……。



 毎年、そんなことを思って過ごしている、

 だからこそ、その日が来る年は、とても嬉しいんだ。


 年明ける前から楽しみにしてるんだ。

 むしろ、四年間ずっと待ってるんだよ。

 そんな日がついに来たの!



 へへへ……。

 なんだか、大袈裟に言ってしまったかもだけれども。

 学校の友達は、私の誕生日を忘れたことはないんだ。


 毎年、みんなで私のために小さなパーティーを開いてくれるの。

 前日と翌日の二日間。


 でも、うるう年の時だけ、そのパーティーはもっと大きくなるの。

 みんなが集まって、私のためにサプライズを用意してくれるんだ。

 その日は、まるで私が主役の映画にいるような気分になるの。


 私はいつも、感情を押し殺しがちなところがあるけれども、誕生日の時だけは、そうじゃない。

 とても嬉しくて。

 だから、友達が私のためにしてくれることに、心から感謝して、大きな声で「ありがとう」って言うの。

 みんなも優しく「どういたしまして」って言うんだ。

 そんな優しさに触れるたびに、私は幸せを感じる。


 うるう年の誕生日。

 私の心はワクワクでいっぱいになる。

 友達がどんなサプライズを用意してくれるのか、想像するだけでドキドキする。


 私の心の中では、いつも感謝の気持ちでいっぱい。

「ありがとう」という言葉が、心の中で何度も繰り返される。


 うるう年の誕生日は、私にとって一年で一番特別な日。

 それは、私が本当に生まれた日だから。


 だからこそ、私はうるう年が好き。


 うるう年だけ本当の誕生日がある。

 私は、うるう年が好き。

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