おばあちゃんの柿

 今日は、お父さんの車に乗っておばあちゃんの家に遊びに行きました。


 おばあちゃんの家は山の中にある。

 行く途中の道でとっても綺麗な紅葉が見えるんです。


 赤とか黄色とか。

 木が、お化粧しているみたい。

 色とりどりの木が並んでいて、とっても綺麗だった。


 その中にポツンと一件、おばあちゃんの家がある。

 紅葉と似ている、赤い色の瓦屋根の家。

 可愛いおうち。


 車が、おばあちゃんの家に着くと、おばあちゃんが出迎えてくれました。

 一年前と変わらない、可愛いおばあちゃん。


「久しぶりだね。元気だった?」

「おばあちゃん、こんにちは。しずく、元気だったよ!」



 私が答えると、おばあちゃんはにっこりと笑ってくれた。


「それは良かったわ。さぁ、中に入りなさい」



 おばあちゃんに連れられて家に入ると、リビングには柿がたくさん並んでいました。


「おばあちゃん、柿だ! 美味しそう!」

「どういたしまして。この柿はね、裏庭で育てたのよ」


「えっ、自分で?」

「そうよ。この庭に柿の木があるでしょ?  あれは私が苗木から植えたの」


「すごい!  どれくらいかかったの?」

「桃栗三年柿八年って言うでしょ?  柿は桃や栗よりも時間がかかるのよ。だからこそ、美味しいのかもね」


「八年って言ったら、私と同じ年だよ。なんだか、すごい! おばあちゃん、私、柿の木見たい!」

「もちろんよ。庭に行きましょう」



 私の反応に、おばあちゃんは喜んでくれていました。

 おばあちゃんと一緒に裏庭に出ると、確かに大きな柿の木がありました。

 木には、まだ熟していない柿がたくさんついていました。


「これが柿の木なの? すごいね」

「そうよ。この木は私の宝物なのよ」


「宝物?」

「そうよ。この木はね、亡くなったおじいちゃんと一緒に植えたのよ」


「おじいちゃんと?」


 おばあちゃんは、優しい顔で柿の木を眺めていた。


「そうよ。おじいちゃんは私と同じくらい柿が好きだったのよ。私たちは柿の木を植えて、一緒に育てるのが夢だったの」

「素敵な夢だね」


「そうね。でもね、柿の木が実をつける前に、おじいちゃんは天国に行ってしまったのよ」


 少し悲しそうになるおばあちゃんを見て、私も悲しい気持ちになった。


「おばあちゃん、ごめんね」

「いいのよ。悲しいこともあるけど、嬉しいこともあるのよ。この柿の木が実をつけた時は、本当に嬉しかったわ。おじいちゃんの分まで食べてあげてね」


「わかった! 私、おじいちゃんの分まで、いっぱい食べる!」


 おばあちゃんは、私を撫でてくれた。

 私は、そんなおばあちゃんに抱きついた。


「おばあちゃんも、一緒にいっぱい食べよ!」

「うふふ。ありがとう。じゃあ中に入りましょうか」


 おばあちゃんは、ずっと私の頭を撫でてくれました。



 家の中に入って、私はまた柿を一つ食べた。

 おばあちゃんの柿は、やっぱり美味しかった。


 おじいちゃんとの思い出が詰まった、おばあちゃんの柿。

 私は、この柿が大好きです。

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