【備忘録】私と母のキロク
久々に母と2人で旅行した。
私は母が好きだ。離れて暮らしていてなかなか会えない為、母親孝行もかねて今回の旅行も私から誘った。
しかし結論から言うと母と2人で旅行に行くのは最後にしようと決意した。
恐らく母もADHDだ。検査はしていないし本人に伝えていないが確信が持てる。
とにかく話の主語がない。伝わっていない事を察せず相槌を入れる暇も無いほど話し続ける。
独り言も多い。目に入った看板をなぜか全て読み上げる。話が色んな方向に飛び、意見もコロコロ変わる。こちらの質問にも答えず自分のしたい話を突き通す。
忘れ物や紛失も多い。本人も自覚しているので出かける時、確認作業でとにかく時間がかかる。にも関わらずなぜか電車に乗るタイミングやお店に入るタイミングで忘れ物に気づく。
人通りの多い道の真ん中で突然立ち止まって鞄を開き、物を探し出す。
具体的なエピソードとして
お土産が買いたいから大混雑してる観光地に行きたいと言い出す。
↓
観光地に連れて行くと案の定人混みで、お土産屋に連れて行っても人が多すぎて疲れたと言い結局買わない。
↓
仕方ないので観光地を抜け最寄駅のカフェへ。
そこでやっぱりお土産を買いたいと言い出す。
↓
戻るのはさすがに厳しいので帰りの駅で母の希望のお土産を売っているお店を探して連れて行く。
↓
実際商品を見たらいまいちだったらしく、やっぱりいらないと言い出す。
さすがに腹が立ち、無言のまま母を帰りの駅まで送っていき、気持ちを整理する為今に至る。
「話の主語がないよ」
「私の質問聞いてた?」
「それ何回も聞いたよ」
「独り言多いよ」
「まだでかけないの?」
「何で今言うの?」
「結局どっちなの?」
「それ触っちゃダメだよ」
「周りの人の迷惑になるよ」
旅行中母に何度も注意した。
それはどれも私が過去に他人から言われてきた言葉だ。
客観的に見ると私はこんな感じなのかと死にたくなる。
それと同時に注意される度に萎縮していく母にも胸が苦しくなる。母は反論せずただ謝るのみだ。帰り際の悲しそうな顔を思い出すと何の為の旅行だったのかと後悔の気持ちが押し寄せる。
きっと母もADHDと認知しているかは別として自分の特性は理解している。
でも直せない、悪気が一切ないのだ。
気持ちは痛いほどわかる。しかし優しくできない。当事者の私ですら。
私がADHDと正式に診断されたのは先月の事だ。現在の職場にはカミングアウトできないでいる。
伝えたところで何が変わるのだろうと思いながら、理解してもらえるのではと期待していた。
自分が理解できない事を他人に求めるなんて、そんな都合がいいことが通るのだろうか。
カミングアウトの結末が出るのはまだ先になりそうだが、文章にできる頃には気持ちの整理がつき、母とまた出かけられる日が来ている事を願う。でも今度は近場で。
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