第6話 ダムの放流

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 ロダンは旅館に戻るとごろりと横になったが、暫くすると退屈を感じて、下駄を履いて再び沢におりた。

 沢に降りると小魚の居る水だまりを越えて再びあの大岩の所に横になり目を閉じた。自然目を瞑れば川のせせらぎと遠くで鳴く野鳥の声が聞こえた。それで夜の鬼提灯祭が始まる迄、ここに寝そべっていようと思った。思ったが、遠くから声が聞こえる。

 ロダンはポケットからスマホを取り出した。取り出すとNの事を調べて行く。何気なく聞いた昔の事件が気になるからだ。だが出てくるのは水害の記事ばかり。中にはダム建設時に大雨が降り、川が濁流になって下流で大きな水害が発生したというものもあった。


 ――おーい、君ぃ!!

 ロダンは半身を起こすと沢べりに人が見え、自分に声を掛けている。その声にロダンは耳を澄ます。

 すると声はどうも旅館に泊まっているダムの管理事務所の人の様だった。

 聞こえる声にロダンは急いで慌てて岩から降りて下駄底を鳴らして掛け合がる。

 自分を呼ぶ声、それはこうだった。


 ――上流でダムから水を放流するらしい


 今年の夏は暑い。干ばつとは言えないが田に引く水が不足してる。

 ロダンは急ぎ駆け足で駆け上がり、再び旅館の部屋に戻るしかなった。


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