第35話 武田陥落1
寛介は、夜討ち作戦の状況報告を行うため、同行した2番隊隊長、風間又兵衛、2番隊副長、風摩新八、3番隊隊長、風真甚吉、3番隊副長、風間石丸の4人のうち、3番隊の2人を残し2番隊の2人を猛陀に飛ばした。
2番隊の2人は、山奥深くに密かに陣を構える猛陀軍の中央に建つ、風介の屋形に風のように舞い戻った。
屋形内の広間に風介、信茂、信圭が並び、向かいに寛介の率いる林の軍の副将を兼ねる1隊番隊長風原剛介と武田から舞い戻った2人が控えている。
「そうかい、ご苦労だったな。寛介のやつずいぶんとがんばってるじゃねぇか」
「信幻さま、寛介も我等猛陀4兄弟の末弟ですから、当然の働きです。まずは四天王の筆頭の板垣を崩し、次は残りの3人をこちらに取り込めば、あとはもう根こそぎこちらに雪崩を打つでしょう」
「信茂よ。四天王の残り3人というのは、どんな野郎だ?」
「甘利虎安、飯富虎正、小山田虎光の3人で、なかなかの剛の者との噂でございます」
「そうかい。じゃあ俺たちがぶっ飛ばすよりも、なんとか味方に取り込んだほうが得策ってところだな」
「ガチで一騎打ちなら、俺たちに敵うやつなどいるはずもねえ。ぶち殺して見せしめにしたほうが、武田を潰すのには早いんじゃねぇか?」
「おいおい信圭よ。あんまりこちらが強く出ると、後で必ず反発が出るもんだ。なるべく戦わずに勝てるなら、それにこしたことはねぇんだ」
「風兄、いや信幻さまがそう仰るなら、もちろん俺は異論などあるはずはねぇです」
「まったく信圭はやり方が荒っぽくていかんな。もう少し落ち着いて動いて貰わないと困る」
「茂兄、申し訳ねえ。喧嘩となるとつい力が入っちまうんだ」
「信圭よ。こいつは昔の喧嘩じゃない。俺たちは信幻さまを担いで、大日本を統一する大きな目標があるんだ。お前も少しは落ち着いて動いてくれよ」
「茂兄、わかったよ。俺もこれからは気をつけるようにする」
「ふっふっふ、兄弟喧嘩はそこまでだ。冷静な信茂と激しい信圭、そして鋭い寛介とそれぞれが個性を活かして、思いっきり動いてくれればいいんだ」
「もちろん、この信茂、信圭、そして寛介と我等3兄弟は、お館様のために命をかけてお仕えいたします」
「おいおい信茂よ。俺たち4人は兄弟だ。力を合わせて頑張るだけのことだ。偶然、俺が長兄なだけだからな。上下などねぇんだ」
「風兄は魔神さまのように強いのに、まったく偉ぶらねぇ。すげぇお方だぜ」
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