第34話 寝返り2
「猛陀につかないかとは、私に主君を裏切れと申されているのか?」
「オレは回りくどいのは苦手だから、はっきり言うよ。その通りだ、板垣伸方さん、オレ達の仲間にならねぇか?」
「この技合わせの前に、寛介殿に敗けたら猛陀につくと話をいたした。見事に完敗した今、残念ではあるがそれ以外に道はない」
「ほう、さすがは板垣伸方、潔いな。ただし技合わせの前の約束など、オレはあてにしていない。本心でオレ達猛陀と共に天下を取りたいのかどうか、その気持ちを聞きたいんだ」
「今、寛介殿たちの戦いを見て、最強の猛陀軍と共に思う存分戦場を駆け回りたい。そう思ったことは確かだ。武士として男として、強さに憧れる気持ちに嘘はない」
「そうかい、そう思うんだったら、猛陀に来い。俺たちと一緒に天下を取ろうじゃねぇか?武田の忍びの衆よ、お前たちも猛陀に来ねえか?お前たちも、うちで鍛えりゃもっともっと強くなるぜ」
「有り難きお言葉感謝いたします。しかしながら我等は伸方さまの手下の者、伸方さまの命に従う所存です」
「そうかい。じゃあ伸方さんと一緒に猛陀に来い。猛陀は、お主らのような強き者なら喜んで迎え入れよう」
「寛介殿、もしこの板垣伸方が猛陀に寝返った時、家人や配下の武者たちの命も保証していただけるのだろうか?」
「あえて聞くほどのことじゃねぇな。もちろん家人や配下の者、住民などに危害を加えるつもりは、はなからねぇよ。オレとしてはこの武田の土地、住民、兵隊全てをそのまま丸ごといただきてぇと思っているんだ。血を流さずにな」
「寛介殿の想い、猛陀の戦略。分かり申した。この技合わせに破れたその時から、伸方の想いは既に決めております」
「伸方さん、ということは猛陀につく、いや猛陀に来るってことで間違いねぇな」
「寛介殿、この板垣伸方、武士に二言はない。今より猛陀の一平卒として下命いただけますようお願い申し上げます。猛陀のお館様が天下を取られるよう、弱者なれど命をかけてお仕えしてまいります」
「そうかい、ありがとうよ。今からは俺たちは同じ猛陀の仲間だ。今後の扱いは後ほどお館がお決めになるはずだ。忍びの衆も依存はねぇか?」
「我等に依存はございませぬ。我等も伸方さま同様、命をかけてお仕え申し上げます」
「よっしゃ又兵衛、まずはお館さまに報告だ。武田の四天王の筆頭、板垣伸方と配下の忍び、今日から猛陀軍に組み込んだ。直ぐに報告に跳べ」
「畏まりました」
「さあ伸方さんよ。これからは四天王の残り3人をはじめ有力な武将をこちらにつける、早速その打ち合わせをしようじゃねぇか」
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