第28話 猛陀が動く2
「私も信茂兄の考えに賛成です。武田は領内安定しているとのことであったが、お前たち武田家の重臣の動きも抑えているだろうね」
「寛介さま、現在の武田伸虎の配下には強者が多く、なかでもには板垣伸方、甘利寅泰、飯富寅昌、小山田昌竜と武力に優れた『四天王』と呼ばれる武将がおります。特に板垣は知らぬ者がおらぬ剛の者と言われています」
「ほう武田の強者、四天王か、面白いな。それでどうなんだい。伸虎とその4人の強者たちは仲良くやってるのかい?」
「お館さまに申し上げます。伸虎の下で四天王は結束も固く、武田軍は負け知らずの最強軍団でございました。しかし現在は、伸虎の強引な言動に、四天王の筆頭ともいえる板垣との間が微妙であるとの情報をがございます」
「又兵衛、伸虎と板垣との仲が微妙であるというのは、確かな情報なのか?」
「はい、寛介さま。板垣の有力な配下の身内から直に聞き及んでおります。伸虎から自分の主が何かと虐げられて我慢がならないとのこと」
「又兵衛、その話本当に信じられるのか?」
「信茂さまに申し上げます。この又兵衛と副長の新八、2人が確認してございます」
「新八、又兵衛の話、真に相違ないか?」
「信茂さま、又兵衛どのの話、相違ございません。本人が話す現場にて2人で確認いたしました」
「四天王の筆頭が主君に不満ありか、こいつあ面白い。信圭、お前ならどうする?」
「風兄、いやお館さま。まず四天王の板垣を落として、こちら側に取り込むべき」
「ふっふっふ信圭も分かってるじゃねぇか。先ずは板垣を落としからだな。信茂も寛介はどう思う」
「信幻さまの御心のままに」
「お館さまの御心のままに」
「寛介の所の精鋭の兄ちゃんたち、お前たちはどう思う」
「お館さまの御心のままに」4人が応えた。
2日後の夜を迎えていた。真夜中の深い山中である。ログハウスに似た奇妙な建物が円陣を組むように二重円を描いて建ち並んでいる。
二重円の中心にあるやや大きな建物から5つの影が現れ、闇の中に溶けていった。
「お前たち、覚悟はできたか?今夜の我らの働きが猛陀の将来を決める。お館さまの運命も、猛陀の仲間たちの運命も全て、我らのこの働きにかかっている。我ら猛陀寛介率いる林の精鋭だ。臆することはない。思う存分の働きを期待している」
「寛介さま、ご安心ください。あなたさまも、お館さまも、猛陀の仲間たちも、我ら林の軍団が必ずお護りしてみせます」
寛介と武田視察に出かけたあの4人の精鋭たちの決意に満ちた瞳に、青い月の光が煌いた。
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