第26話 素っ破抜く2
「武士も足軽たちも、平時は農業に従事し、更に戦への備えも余念がありません。更に領内の食料配給、備蓄ともに潤沢であり、民の忠誠心も厚く安定しておる模様です」
「民の忠誠心も厚く、食料も豊富で、更に戦闘訓練もか。どんな訓練やってるんだい」
「馬、弓、槍など、組頭を中心に武力向上に励むとともに、集合しての様々な陣形への対応訓練も行っております」
「さすがは精鋭の武田軍。鍛錬にも怠りはなしか。領内統治も万全てところだな」
「お館さま、なかなかの敵のようですね。我らも心してかからねば、厳しい戦いになると思われます」
「おう寛介よ。厳しい戦いは初めから分かってることだ。なんせ3万6千人の大軍相手に400人で挑むんだからな。ふっふっふ」
「さすがは魔神の風兄、勝ち目のないはずの戦を楽しんでいらっしゃる。林の軍の隊長と副長さんたちよ。俺たちの総大将は天下無敵のみの魔神さまだ」
「おい信圭。あんまり調子に乗って訳の分からぬ話をするな。武田のところの話はまだこれからなんだ」
「おう茂兄、申し訳ねえ。つい興奮しちまって・・・・・」
「ふっふっふ、まあ信茂よ、あんまり怒るな。信圭に悪気はねえんだからな」
「お館さま、それでは敵情説明を続けさせていただきます。おい話を続けなさい」
「はっ、それでは続けさせていただきます。まず武田伸虎には居城はありません。ひつじが崎館という館を城代わりに使っております」
「ほう敵のお館さんは城なしなのか、珍しいな。敵から攻められた時に籠城する城がねぇなんて、よほど護りに自信があるんだな。その館ってのは、どんな感じなんだい」
「高台に建てられ展望は良好と存じます。館の北側は険しい山々、西と東にも峰があるため、館を攻めるなら南側からのみとなり、さらに高台のため防御に適しております。
さらに山からの湧水もあり、水の確保もできるため長期戦にも対応可能です」
「そうかい、護り易く攻め難い地形のようだな。多勢で繰り出して遠巻きにしても食料が豊富、水も確保できるのなら、こりゃあ難敵だな」
「お館さま、この武田との戦いは、大きな戦力の差、自然の要塞ともいえる地形の有利さなどから、まともに正面から戦える相手ではないようですね」
「そうだな。まともにかかれば、いくら一騎当千の我ら猛陀軍でも潰されそうだな。どうだい寛介、我ら魔人軍らしく奇襲攻撃、夜討ちでもかけてみるか」
「ふっふふふ、さすがはお館さま、寛介も同じことを考えておりました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます