第24話 猛陀の夢2
寛介と信茂、信圭は、各々一人で数百人は倒すだろうし、うちの兵隊も一騎当千の野郎ばかりだ。一人で20や30人はいけるはずだ。
でもよ、この計算でいくと、やっぱり頭数が足りねえな。俺が一気に敵の本陣にぶち込み、大将の伸虎の野郎をブッチめて勝負を決めてやるしかねぇな。
ただしあんまり伸虎の兵隊を叩きたくねぇんだ。甲非を押さえた後に、他の国との戦いを考えると、伸虎んとこの兵隊をできるだけ傷つけずに風軍団に取り込みてぇからな。
特に腕が立つ野郎たちは、中心部隊として活用してぇもんだ。あとの大勢は足軽として使うつもりだ。
なにしろ頭数さえ揃えりゃ戦に勝てるってもんじゃねぇからな。、いかに強者を集めか、それが問題ってことだ。
それによ、戦いの前にまずは確実な情報収集が肝心だな。伸虎軍の兵の状況や内部に不満分子がいねえかどうか、探りを入れなくちゃならねぇ。
できれば極力戦わずに勝つ方法がねぇかどうか探り、効果的な手を打つ、それが一番の戦法だからな。
信茂(五郎)、信圭(熊)、寛介(寛太)の三人を集めて会議を開く。
「まずは伸虎のところに、スパイを送り込もうじゃねぇか」
「風兄、いや信幻さま、スパイって何のことです?兄貴の言葉は、時々難しくってわかりませんぜ」
最近は、すっかり武将らしい風格が出できた信茂が言葉を挟む。
「茂兄、スパイっていうのは、今の時代で言うと間者とか素破のことですよ。つまり伸虎の軍の中にうちの兵隊を送り込んで、情報を集めたり撹乱したりする役目です」
「おう、切れ者の寛介、おめえだけは流石に兄貴の心が読めるようだな」
まるで熊のような信圭が、大声を上げながら寛介の背中をバシンと叩いた。
俺達、猛陀軍も役割分担を決めた。総大将はもちろん俺だ。本隊である『風の軍』を率いる。『火の軍』を率いるのは副大将の信茂、『山の軍』は副大将の信圭が率いる。
寛介は、信茂、信圭と同様に副大将であるが、戦国国盗りゲームで様々な戦略を身に着けているので、作戦参謀の役割を担っている。寛介は『林の軍』を率いる。
猛陀軍は、他の戦国武将の備えとは異なり、騎馬隊、弓隊は存在しない。総大将、副大将、そして全ての兵が、戦場を魔人の如く疾く駆けることが可能だからだ。
また、各軍には特に長槍を得意とする者が30人程度選抜され、他の者は戦場刀を武器として戦うこととした。
更には秘密兵器として、この準備期間に寛介の設計て作成した小型連発銃が、各軍20丁ずつ配られていた。
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