第12話 ステータス(?)オープン

 町の中を歩いている。


 どうやらここには臓器型のマスクをしていない、普通の人もいるみたいだな。


 ん?

 頭に猫のような耳が付いている、短い黒髪で小太りのおっさんいるぞ。


 なんだあれ?

 ああいうカチューシャか?


 いや、それらしきものはないな。


 それに、人間の耳がないぞ!?


 あっ!?

 あっちの短い黒髪で小太りのおっさんには、ウサギのような耳が付いているぞ!?


 そっちの黒髪モヒカンで中肉中背のおっさんには、イヌのような耳が付いているだと!?


 あそこのスキンヘッドで筋骨隆々のおっさんには、タヌキのような耳が付いているじゃないか!?


 むこうの黒髪ロングで痩せ型のおっさんには、魚のヒレのような耳が付いているぞ!?


 しかも、あの人たちにも人間の耳がない!?


 ということは、あの人たちは獣人みたいなものなのか!?


 ここにはそういうのもいるのか……



 町を歩いて行くと、巨大な魚の頭のようなものが載せられている、巨大な茶色いダンボール箱があった。


 大きさは、中型のビルくらいある。


 なんだよ、あれは!?

 巨大な魚か!?

 それとも、巨大なダンボールハウスか!?


 訳が分からないぞ!?


「ダァンサービオ、あそこが学校よ」


 肝っ玉母さんが巨大ダンボールハウスを指差してそう言った。


「えっ、あの茶色いものが学校!?」


「そうよ」


 あんな訳の分からんデザインで学校!?


 意味が分からなさすぎる!?


 誰が、何を考えて、あんなの建てたんだ!?


 想像も付かないな!



 肝っ玉母さんがオレンジ色の壁に『ヴェバヂグデズ』と白で書いてある、幅の広い低層ビルに向かっているようだ。


 あそこが目的地なのかな?


 日本にあるスーパーマーケットみたいな建物だな。


 あの『ヴェバヂグデズ』というのは、意味不明だけど。



 中に入った。


 内部も日本のスーパーみたいなものだな。


 商品が詰まった棚が、大量に並んでいるぞ。


 レジもあるようだ。


 お客は結構多いな。


 みんな特売品目当てなのかな?


「そういえば、何を買いに来たんだ?」


「安売りしているのは、ティッシュとトイレットペーパーよ。あとは食料品を買う予定よ」


「そうなのか。なら、さっさと済ませてしまおう」


 俺たちは買い物を済ませた。


 そして、帰路に就いた。



 家に着いた。


「今日はありがとうね、ダァンサービオ」


 肝っ玉母さんに礼を言われた。


「これくらい良いんだよ。ステータス屋に食事をくれたお礼だよ」


「なら、今日の夕食と明日の朝食も用意するわね」


「はいはい、また特売があったら付き合うよ」


 まあ、仕方ないな。



 ダァンサービオ君の部屋に戻って来た。


「さて、ステータスを教えてもらおうか」


「了解でアリマスよ。では、ダァンサービオさんの履歴書オープンでアリマス!」


 アルヴェリュードがそう言った直後、俺の目の前に履歴書くらいの大きさの、白い紙のようなものが現れた。


「えっ、ナニコレ!?」


「それがステータスでアリマス。さあ、読むでアリマス」


「いや、今、履歴書って言っただろ?」


「どちらも同じようなものでアリマス。細かいことは気にしないでアリマス」


「あ、ああ……」


 同じようなものなのか?


 まあ、いいか。



 俺は履歴書を見てみた。


 左上に『履歴書』と黒い字で書いてあった。

 ハッキリ履歴書と書いてあるんだな。


 その右隣に『ランブベービ歴二〇三一年四月一日現在』と書いてあった。

 これは日付か。


 その右隣に俺の真顔の写真が表示されていた。

 いつの間に撮ったのだろうか?

 まあ、そこはどうでもいいか。


 履歴書の下に氏名欄があり、そこに『ダァンサービオ・ルクリーデ』と書いてあった。

 ダァンサービオ君のファミリーネームは、ルクリーデというのか。


 その下に生年月日欄があり、そこには『ランブベービ歴二〇一八年一〇月二一日(満一二歳)』と書いてあった。

 ダァンサービオ君の誕生日は、一〇月二一日だったのか。


 その右には性別欄があり、当然ながら『男』と書いてあった。

 まあ、当然だな。

 息子さんがいたしな。


 生年月日欄の下に、住所欄があった。

 そこには『サンヨンホン国 ウトウキョー町 三-五五-二三』と書いてあった。


 サンヨンホン国?

 ウトウキョー町?

 ここはそういう名前なのか。

 やはりここは異世界なんだな。


 ん?

 そういえば、日本の履歴書には住所欄の右に、電話番号を記載する欄があったはずだよな。


 でも、ここにはないな。


 ここに電話は存在しないのだろうか?

 どうなんだろうな?


 まあ、いいか。


 住所欄の下には、父親と母親の氏名欄があった。

 そこには『父 ベーオベジガズ・ルクリーデ』『母 ハスタージ・ルクリーデ』と書いてあった。

 ほう、そんな名前なんだ。


 その下には、年収欄があった。

 そこには『一万二千アカヂィ』と書いてあった。

 ダァンサービオ君は、毎月千アカヂィのお小遣いをもらっていたのかな?


 その下には、学歴・職歴の欄があった。

 そこには『二〇一八年三月 ウトウキョー第三初等学校 卒業』と書いてあった。

 へぇ、そうなのか。

 そんな学校があるんだ。


 その下には、免許・資格・特殊能力・魔法の欄があった。

 免許・資格は分かるけど、特殊能力と魔法だと!?


 なんか急にファンタジーっぽくなったな!?


 まあ、そこはどうでもいいか。


 見てみよう。



 な、なんだこりゃぁっ!?


 なんでこんなことになっているんだ!?

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