第11話 お礼にお手伝い

「これでステータスを教えてもらえるのか?」


「もちろんでアリマス」


 おおっ、やっとか!!


「なら、さっそく……」


「ダァンサービオ、それは食べてからにしなさい!」


 肝っ玉母さんに注意された。


「それもそうだな。では、いただきます」


 俺はサンドイッチを食べた。


 日本のものと同じような味がする。


 食感も香りも同じような感じだ。


 うん、なかなか美味しい。



「あっ、そうだ! ダァンサービオ、ちょっと買い物に付き合ってよ。おひとり様一点限りの特売品があるみたいなのよ」


 肝っ玉母さんがそう言った。


 ここにもそういうセールがあるのか。


 なら、サンドイッチをもらったお礼に付き合おうかな。


 それに外の様子も見ておきたいしな。


「ああ、良いよ」


「ありがとう。それじゃあ、食べ終わったら行きましょう」


「分かったよ」


「ちゃんと着替えるのよ」


「ああ、分かったよ」


 そういえば、着替えてなかったな。


 この水色の服は寝間着なのか。

 日本で普通に売っていそうだな。



「ごちそうさまでした」


 では、着替えてくるか。



 俺はダァンサービオの部屋に戻って来た。


 では、着替えるとしようか。


 服はタンスの中かな?


 タンスに引き出しは七段ある。


 俺は一番上の引き出しを開けてみた。


 ん?

 中に革製と思われる茶色い袋と、厚紙が入っているぞ。


 なんだこれは?

 調べてみるか。


 袋には硬貨が入っていた。


 これはタンス預金?


 ダァンサービオ君は、お小遣いをここに保管していたのかな。



 厚紙の方はなんだ?


 これは月別のカレンダーのようだ。


 なんでこんなところに入っているんだ?


 訳が分からないなぁ。


 まあ、そこはどうでもいいか。



 俺はカレンダーを見てみた。


 あれ?

 一年が一二か月あるみたいだぞ。


 それに、これは……


 一年が三六五日あるみたいだな。


 なんで地球と同じなんだ?


 それに、このカレンダーには日本語と数字が使われているぞ。


 すさまじく今更だが、肝っ玉母さんたちが使用している言語も日本語だしな。


 これはどういうことなんだ?


 意味が分からんなぁ。


「おい、超究極激辛炎の勇士さんヨォ。さっさと着替えたらどうダ?」


 炎の精霊レシィン・ムーナムイトに注意されてしまった。


「ああ、そうだな」


「そうでござるよ。早く生着替えを見せるでござる」


 賢者レーロナネ・ウーマヒグがそう言った。


「何言ってんだ、この変態賢者!? 目を閉じてろよ!!」


「お断りでござる。ほら、早く着替えないと、あの妙な格好の方を待たせてしまうでござるよ」


「こ、こいつは……」


 くそっ、さっさと追い出さないと!


 俺はタンスの上から二番目の引き出しを開けた。


 そこには、日本で普通に売っていそうな服が入っていた。


 やはりここに服が入っていたか。


 では、着替えよう。



 よし、着替え終えたぞ。


 着用しているのは、白のパーカーに黒のロングパンツだ。


「ふぅ、良かったでござるよ」


「うるさいぞ、変態賢者!!」


「さっさと行けヨ、超究極激辛炎の勇士」


「ああ、分かっているって!」


 俺は部屋を出た。



「やっと着替えたのね。さあ、出かけましょう」


 ダイニングキッチンで肝っ玉母さんと合流した。


 肝っ玉母さんはエプロンだけを脱いだ状態だ。


 もしかして、そのまま出掛けるのだろうか?



「それじゃあ、行きましょうか」


 俺たちは家の玄関に来た。


 ごく普通の玄関だな。


 靴箱があって、片開のドアがある。


 たたきに靴がいくつか並んでいる。


 サイズの一番小さい靴が俺のなのかな?


 まあ、履いてみれば分かるか。


 俺は黒いスニーカーのような靴を履いた。


 うん、ピッタリだな。

 これが俺のみたいだ。


 肝っ玉母さんが白いスニーカーを履いた。


 人間の肝臓っぽいマスクをかぶったままだ。


 やはりあのまま出掛けるつもりのようだ。


 警察みたいなものに捕まらないのかな?



 俺たちは外に出た。


 この家には、日本に普通にありそうな白い外壁の一戸建てなんだな。


 あまり広くはないが、庭もあるんだな。


 短くて細い緑色の草が生えている。

 植物も日本のものと、そう変わらないように見える。


 家の周囲は、白いコンクリート製と思われる塀が取り囲んである。

 門のところには、縦スリットの入った黒い門扉がある。


 その近くに埋め込み式のポストがあるようだ。


 なんか普通に日本の住宅街にありそうな家だな。


 ただ、お向かいの家は、メルヘンだなぁ。


 傘の部分が赤い色をしたキノコの家だ。


 なんであんなデザインなんだろうな?


 家主の趣味なのか?


「それじゃあ、行きましょうか」


 俺たちは門から出た。



 町の中を歩いている。


 分かっていたことだが、建築様式がバラバラだな。


 それに道路の素材も、アスファルト、レンガ、石畳がある。

 土がむき出しの場所もある。


 奇妙な景色だなぁ。


 なんでこんなことになっているのだろう?


 ちょっと肝っ玉母さんに聞いてみようか。


「さあ? よく分からないわね」


「そうなんだ」


 分からないのか。



 えっ!?

 妙な格好の人型生物が歩いているぞ!?


 人間の脳みそのようなマスクをかぶっている!?


 なんだあいつは!?


 肝っ玉母さんの同類なのか!?


 うおっ!?

 あっちには人間の胃袋のようなマスクをかぶっている人型生物がいる!?


 うげっ!?

 そっちにには人間の心臓のようなマスクをかぶっている人型生物がいる!?


 なんなんだ、この町は!?


 ああいうのが流行っているのか!?


 訳が分からなさすぎるぞ!?

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