第5話 封印をどうにかしないと……

 うっ……

 こ、これは……


 なんかトイレに行きたくなってきたぞ。


 仕方ない、ちょっと行って来るか。


 あっ、そうだ!?


「みんな、またトイレに行くから、目を閉じてろよ!」


「了解でござる! 全力で開けているでござるよ!!」


「何言ってんだ!? やめてくれ!? 全力で閉じてろっての!?」


「お断りでござる!」


 この賢者、変態すぎるだろ!?



「マユメ、なんとかアレを止められないのか!?」


「聖女として、どうにかしたいところですが、残念ながら、どうにもなりません。申し訳ありません……」


「そ、そうか…… 無理を言ってすまなかったな」


 もうあの変態は、放っておくしかないのか?



「人間国宝鉄人覇者ダァンサービオ、聞きたいことがあるざ~す」


 妖魔ジローゲヨ・ギャケーエが話しかけてきた。


「なんだよ、こんな時に!?」


「この感じ、まさか大きい方ざ~すか!?」


「えっ!? な、なんでそんなことを聞くんだよ!?」


 まあ、その通りなんだけどな!


「ジローちゃんが封印されている場所を忘れたざ~すか!?」


「封印されている場所? あっ!? そういえば、尻なんだっけ!? なんか影響あるのか!?」


「あるに決まっているざ~す! 終わったらキチンと拭くざ~すよ! 残っていたら、ジローちゃんが悲惨な目に遭うざ~す!!」


「わ、分かったよ! ところで、なんで尻にいるんだよ!?」


「封印したのは、人間国宝鉄人覇者ざ~す! それを聞きたいのは、ジローちゃんの方ざ~す!!」


「それもそうだな!? 俺もそこは思い出せないぞ! うぐっ、急にビッグウェーブがっ!?」


「さっさと行くざ~す!!」


「あ、ああ!!」


 俺はトイレに向かった。


 そして、用を足した。


 うちのトイレには温水洗浄機能が付いていた。


 こいつでしっかり洗ったから、ジローゲヨに文句は言われないだろう。


「うう…… なんでジローちゃんは、こんな目に遭わなければいけないざ~す?」


 と思ったが、そうでもなかった。


「な、なんだよ、どうしたんだよ、ジローゲヨ?」


「アレが出て来る感覚が伝わってきたざ~す……」


「そ、そうなのか……」


 それは悲惨すぎる……


「ん? もしかして、他のみんなも伝わったのか!?」


「いえ、伝わっていないでございます」


「ということは、触覚は封印されている場所にしかないのかな?」


「そのようでございます」


 そうなんだ。


 なら、毎回トイレで苦しむのはジローゲヨだけなのか。


 かわいそうすぎる……



「そういえば、触覚は遮断できないのか?」


「できなかったざ~す……」


「そうなんだ」


 本当に悲惨すぎる……


 これはどうにかできないものなのだろうか?


 封印を解く方法とか、封印されている場所を移動する方法とかも調べた方が良さそうだな。


「ふう、素晴らしい体験でござった」


 アレも追い払いたいしな。


 だが、どこで調べたら良いのだろう?


 学校にそういう資料はあるのかな?


 まあ、とりあえず、パンフレットの続きを読んでみるか。



 ふむ、この世界には『ダンジョン』というものがあるみたいだな。


 そして、盗賊というのは、そこに仕掛けられているわなの解除をする技能を持った人みたいだな。


 なるほど、ゲームに出て来るような感じだったんだな。


 言葉通りじゃなくて良かった。


 学校では、わなの発見方法や解除方法を知ることができるみたいだ。



 このダンジョンというものは、なんなのだろうか?


 ゲームとかに出てくるものみたいな認識で良いのかな?


 そこも学校に行けば分かるか?


 いや、封印されている面々なら、知っているかもしれないな。


 ちょっと聞いてみよう。


「このダンジョンって、なんなんだ?」


「この世界のダンジョンは、よく知らないでござる」


「そうか。……ん? この世界って、どういうことだ?」


「賢者さんは、別の世界に住んでいたということでござるよ」


「別の世界? なら、なんでここにいるんだ?」


「原理は不明でござるが、色狂い送りおおかみは、賢者さんを封印した状態で生まれ変わったでござる」


「えっ? レーロナネとは前世からの知り合いなのか?」


「そうでござる」


「我もそうである」

「わっしもじゃしー」


 他のみんなもそうなのか。


 ん?

 そういえば、これも俺の作った設定にあったような覚えがあるぞ。


 やはり俺の作った設定が、そのまま反映されているのか?


 どうなんだろうな?


 うーむ、考えてもよく分からないな。


 これはいったん保留にしておこう。



「ダンジョンを知っている者はいないのか?」


「我も知らんのである」

「わっしも知らんじゃしー」


 他のみんなも同じみたいだ。


「そうか。なら、仕方ないな」


 パンフレットの続きを読むか。



 冒険者はモンスターを倒して、それを売却している自営業者なのか。


 学校では、戦闘方法やモンスターの解体方法を教えてもらえるみたいだ。


 この世界って、モンスターがいるのか!?


 モンスターって、襲ってくる敵という認識で良いのか!?


 どうなんだろうな?


 まあ、とりあえず、そう認識しておくか。



 勇者は国に雇われた冒険者みたいだな。


 冒険者として優秀だと、国に雇われるのか。


 なるほど。



 魔法使いは魔法を使える人なのか。


 そのまんまだな。


 優秀な魔法使いは、国に雇われて賢者と呼ばれるようになるそうだ。


 へぇ、なんかすごそうな存在なんだな。

 うちにいるのは、アレなのにな。


 女性で、優秀な魔法使いで、教会に雇われると聖女と呼ばれるらしい。


 ふむ、なるほど。


 ものすごく今更だけど、魔法ってあるんだな。


 俺は使えるのかな?



 学内には図書館があって、学生は自由に使えるのか。


 ここでいろいろと調べものができそうだな。


 ここを利用できるだけでも行く価値がありそうだ。

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