第12話 俺は誘拐の犯常習なのか
「で、そのサンカンキハンの目的がアモンのハーレム作りだと」
さんはんきかんだ。
後
しまったアルコには内緒の目的が
ミカリンによって暴露されてしまった。
呪いで口止めしておくべきだった。
くそう
後の祭りアフターカーニバルだ。
俺は恐る恐るアルコの顔を見る。
怖い
ゴミでも見るかの様な蔑んだ目で
見られたら自殺したくなる。
やめて
こわい
俺は
女子のそう言う視線に極端に弱いのだ
(ナナイとミカリンを除く)
アルコは普通の表情だった。
「はい。分かりました」
「「え????」」
あっさり承諾するアルコにミカリンも俺もビックリだ。
「え?」
アルコは二人の反応にビックリだった。
「何か・・・勘違いしていますかね私」
「いや普通ドン引きするでしょ
ハーレムだよハーレム、最低でしょ」
キョトンとしているアルコに詰め寄るミカリン。
俺は最低なのか・・・。
「いえ、若いオスならば誰もが目指すモノでは・・・・
強いて言うなら普通すぎるのが欠点かと」
ゆ
許された。
ここで俺はピンと来た。
あー
そうか猿とかライオンも
そう言う社会形態だもんね。
ベアーマンの一族もそうなのか。
「なななななななな。」
お
ミカリンがバグってる。
おお
これは千載一遇のチャンスだ。
普通なら絶対に少数のハーレム派が
今この場だけは多数派マジョリティだ。
民主主義ならこっちが正義だ。
こんなチャンスはそうそう無いぞ。
・・・民主主義か
これは実は俺は絶対賛成では無い。
今回の件で分かる通り
間違った案が採用されてしまう政治形態だ。
今は苦しくても将来の為に
ここで頑張らないといけないね。
この発想で尚且つ実行出来る人が
大多数いないと堕落する一方になるのだ。
カツ〇や、の〇太だけで構成された国だと
期限までに宿題が終わらないかもでも
明日でいいやで成立してしまい。
最後は破綻する。
例え自己の利益にならなくても
将来の国民の為に犠牲になる事を厭わない
高潔な魂の持ち主が大多数いないと運営出来ない。
無理な話だ。
痛くてガマン出来なくなるまで歯医者の門を叩けない
今は忙しいからとか穴開いてきてるけど平気だし
そんな人の方が多いだろう
国家運営でそうなると
将来には不幸のしわ寄せが残るだけだ。
はぁー
ログアウトしたオリジナルの俺は年金もらえるのかなぁ
大体、政治家の言う「老人が増えた」
この言い回しが許せない。
老人は増えない。
例えば(移民が無い場合)
1980年生まれの人間が増える事は無い
事故や病気で減っていく事はあっても増える事は無いのだ。
そして2040年には60歳になる
これは間違い無いのだ
予想以上に増える事はあり得ない。
決まっているのに対処してないのだ
それを誤魔化す詭弁が老人が増えただ。
一般人の感想ならアリだが
国の未来を担う政治家は
言ってはいけないセリフだ。
そしてマスゴミと結託し「老害」なる言葉で
巧みに悪いイメージを刷り込んでいく。
この巧みさを
良い方向になぜ使わないのか
などとハーレム作りを目論む
俺に言われたくないだろうな
本題に戻ろう。
とにかく
ここで一気にミカリンを畳み込んで
二度とその話題に触れられなくなる様に
徹底的に追い詰めておこう。
「ただ・・・その・・・」
アルコはモジモジし始めた。
「何々?嫌なら正直に言っていいんだよ」
食いつくミカリン
させるかぁー
「私は未熟でして、まだ・・・
その生殖は・・・出来ない体です。
申し訳ありませんマスター。」
頭を下げ謝罪するアルコ。
「「ええーー?!」」
あー
ふーっ
さて
一個一個突っ込んでいくか。
えーその成熟ボディで生理来てないの。
いやいやいやベアーマンと交配する気ないから。
一緒に驚いているけどミカリンお前もまだだよ
もう何か月以上も一緒にいて気が付いてるけど、お前無いよ。
「えーっと・・・・。」
十数年前に俺が直に歌を教えたベアーマンの
子供の中にマイザーがいた。
その妹がアルコでその場で見かけていなかったから
「アルコ今何歳?」
「今年で10歳になります」
やっちまったー
ティーンズですらない子供だ。
俺は犯罪者だー
奴隷商だって金銭置いてくのに
俺は武器防具貢がせて児童まで誘拐して
しまったー。
ちょ・・・極悪人だよ
田舎のおやじお袋ゴメン
東京がイケないんだと思う
「まマスター。どうかなさいましたか」
床をローリングして
悶える俺を不安気になるアルコ10歳メス。
でも10歳でそのボディって
あー
馬とかは3歳で大人の体格だしなー
ベアーマンでは普通なのね
ちょっと待ってくれ
この再起動は時間が掛かる。
起動せんかもしれん。
なんとか回復したものの
これから急いでもエルフの里に今日中には
到着しないので、もう今日はこのまま
この丸太小屋で過ごす事にした。
特に何もすることが無いのでゴロリと
横になっていたがミカリンが外を窺う様な
感じになった事に気が付く
顔が凛々しい
これはマジだな。
アルコも耳が普段より立っていた。
接近してくる者がいるのだ。
「アモン・・・。」
「危険は無いよ」
俺はさも、とっくに気が付いていました
的な態度で言っておいた。
「そう・・・なんだ」
美味い具合に騙されて感心するミカリン。
実は私は、まだ察知できてません。
脳内アラームが鳴らないってだけの判断です。
「さ流石ですね。マスター」
種族的な身体能力もレベルも上のアルコは
俺のセリフにミカリン以上に感嘆した。
やめて
純粋な瞳で感心しないで
良心が痛い。
「危険は無くても、何だか気になるから
ちょっと見て来るよ」
大地の盾とショートソードだけの
軽装でミカリンは外に飛び出して行った。
戦闘系に関してのミカリンは本当に積極的だ。
しばらくすると外でなにやら話し声が聞こえて来た。
そのまま近づいてくる。
会話の片方はミカリンで相手も女性の声だった。
「なんかねー採取の帰りで
いつもここで休憩してるんだってー」
ミカリンが入り口から入るなり
そう言った。
それで、中が綺麗だったり
備品が置いてあったりしたのか
「ありゃ、じゃお邪魔かな」
体を起こして入り口を見ると
俺は息を飲んだ。
咄嗟に出そうになった言葉を飲み込む。
ヴィータ
直ぐに別人だと気が付いたので叫ばずに済んだ。
良く見れば似ていないのだが
見かけた瞬間だけは錯覚した。
なんていうのか
出てるオーラーと言おうか
雰囲気と言おうか
似ていたのだ。
冷静に見れば、脳が別人だと認識し
違和感が薄らいでいく
心臓の鼓動もそれに合わせて落ち着いていった。
年の頃は二十歳位だろうか
人族の普通のお姉さんだ。
ブウラウンの髪
背中の中程で纏めている。
地味だが整った顔立ちだ。
「いいえ、あのどうぞご利用ください
私も、この小屋を建てた関係者では
無くて勝手に使わせてもらっているんです」
正直な人だ。
「ご一緒にどうですか」
俺は荷物の中から予備のカップを取り出すとそう言った。
小屋に立ち込めている香りに興味を持ってくれたのか。
お姉さんは食いついて来た。
「あ、え、でも悪いわ」
「この茶葉は次は使えない
飲む人が居なければ捨てるのです」
「そ、そうですか。じゃあお言葉に甘えて」
面子的な事も幸いしたのであろう
いるのが子供二人と女性だ。
俺達相手に身の危険は感じないハズだ。
さて
油断している内に聞いてしまおう
怪しいったらありゃしないぞこのお姉さん。
女性の足でここから1日以内に
行き来できる集落や村など無い。
女性は軽装だ。
旅の服装では無かった。
お姉さんは背負っている竹製の篭を
入り口付近に降ろした。
ありゃ
採取は本当だな。
篭の中身はミカリンもお気に入りの
あのフルーツだった。
そうなると近くに馬車でも待機させているのかな。
俺は暖炉の上で沸かしていたお湯を急須に注いだ。
この暖炉も前回作った物だ。
良く出来ている。
前回の俺すげぇな。
ただ今回の俺は前回と違い時間に余裕がある
茶葉の発酵に成功していた。
かなり紅茶風味だ。
それにジャムを混ぜてお姉さんに出してみた。
お姉さんは見た事の無いお茶に
警戒しつつも、そこから漂う香りが
部屋を満たしていた香と同じだと
気が付き、意を決して口をつけた。
「あら、美味しいわ」
これは、お世辞では無いな。
喉の渇きも手伝ってグイグイいってしまった。
結局、全員分の二杯目を作る事になった。
俺が準備している内に
女子達は打ち解けてきたようだ。
「あ、アモン。運ぶの手伝うよ」
出来上がった事に気が付いたミカリンが
そう言ってくれた。
「おう、頼むぞ・・・・って
どうかしましたか。」
急にお姉さんの様子が急変した。
「あ、いいえゴメンなさい」
お茶を飲みながら
お姉さんは原因を話してくれた。
「私、小さい頃に悪魔に誘拐された
事があるの・・・それで」
アモンという単語に恐怖が付きまとっているそうだ。
当時の記憶は曖昧で攫われた時の事は
全く覚えていないそうだが
親を含めた大人たちの対応が
鬼気迫る程真剣だった為
救出されてからの方が恐怖だったそうだ。
それは大変だったなー
って
ん
この人アレか
ヴィータが勝手に体を乗っ取った
あの時の児童か
うわー
すっかり大人になっちゃって
おじさん
こーんな小さい時から知ってるんだよー
勘違いの合点がいった。
あの時ヴィータは参拝に来た人々の
中から最も波長の合う人間に
取り付いたと言っていた。
似ていると感じるのも道理だ。
でも
ベレン在住だったハズだよな。
その疑問はその後に語られた内容で分かる事になった。
悪魔にさらわれた。
その噂だけでもうベレンに居る事が出来なくなった。
本人はもちろん、親も周囲から疑いの目を向けられた。
【その子は悪魔とすり替わってはいないか】
あからさまに言う者
言わずとも態度に表れる者
居たたまれない地獄の日々が始まってしまったそうだ。
・・・不手際だ。
そこまで考えが至らなかった。
つかヴィータのせいだろ。
いや
俺のせいだな。
その位、ベレン市民に恐怖を植え付けたのだ
あのアモンは
「ですが、ハンスという神父さんが
本当に良くして下さいましてね」
悪魔で無い証明に尽力してくれたらしい
いつも済まないねハンス君・・・
ナイスだ。
ただ、それでも居づらさは改善せず
新しく出来た村への引っ越しを教会が
全面バックアップで面倒見てくれたそうだ。
それが最初の疑問の回答になった。
この近くに村がある。
あの時は無かった新しい村だ。
歩いて1~2時間程度だそうだ。
「よし、予定変更だ。」
エルフの里を後回しにして
俺達はお姉さんの村に行く事にした。
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