第3話 異世界転生っていったらコレでしょう

装備出来ただけで

この盾の持つ効果が殆ど使用不可だ。

LVが足りないのだろう

今の段階で持てる最強の盾である事は間違い無いが

皮の盾でも遜色無いような状態だ。


豚に真珠だ。

まぁ無いよりは遥かにいいか


ふと見ればミカリンが土下座していた。


「主様。お願いします。

それは天界に戻させてください」


そういえば前回も援護や護衛よりも

敗北した天使の装備回収を優先していたっけな

自動で天界に戻る天使本人と

違って装備は手動で戻す必要があるのか


無理だとは思うが

コレが人の手に渡り解析・複製などされれば

やがては神をも脅かす技術を

人類が持ちかねないと懸念しているのだろう

知恵の実食って火を知ってしまってからの

人類ヤベェ

まじこいつらにはもう何も教えない方がいいって

そんなトコロなのだろう。


後、なんとなくミカリンが俺を呼ぶ際の呼び分け方

アモンと呼び捨ての時と今みたいな主様の二つだが

前者はノーマルで

後者はマジモードな感じだ。


俺は装備を外すとミカリンに差し出した。


「やり方は知らん。任せるぞ」


座ったまま両手で授かる様に盾を受け取ると

ミカリンは信じられないと言った様な表情だ。


「・・・いいの?」


頼んで置いて何だソレは


「ああ、大事な事なのだろう」


どうせ聖属性だ。

レベルアップでどう変わるか未確定だが

どうせ悪魔人間には装備できっこないであろう

だから前回も捨てたのだ。


「ありがとう・・・ありがとう」


全裸少女が何度も頭を下げる。

絵的には酷いな・・・

やっぱり早く何か着たい。


妖精を見ると期待MAXで待っていた。

ああ名前だよな

うーんもっと欲しい

与えてから頼むか

もう少し持って来させてから付けるか

・・・

持って来たのだから答えよう

それで改めてお願いしてみるか


渋る様ならテレ東に連絡して水全部抜いてやる。


「それでは名付よう」


どうすっか

森の湖だから森泉とかにするか

不倫しそうだ

だめー

うーん


「キャスタリア・・・でどうだ」


そんな名前のニンフが元の世界の伝承にいたよな

そのままあやかろう


「キャスタリア・・・。」


妖精は目を閉じ、そう復唱した。


「はい。今より私は湖の妖精キャスタリアを名乗ります。」


なんかレベルが上がっている様な感じだ。

うまい方に転がってくれよ


「でキャスタリア、追加でお願いしたいんだが」


俺は希望の物資を細かく説明した

キャスタリアは快く引き受けてくれた。

むしろ頼られて嬉しそうですらあった。

思うに、こいつも相当ヒマだったのだろう


「では、いって来ますね」


そう言って、再び湖に潜っていくキャスタリア。

がんばれよー

何か鵜飼になった気分だ

ガチャを回している喜びに近いモノがあるなぁ


後ろを振り返ってみると

ミカリンが盾を持ったまま呆然としている。


「アモンどうしよう。戻せないよ」


前回は簡単に光の輪っかを作り出し

アイテムを出し入れしていた。

それが出来なくなっていると言うのだ。


種族は天使なのだから状態のせいだな

これもレベルを上げて天使化が

出来る様になってからじゃないのか


俺はミカリンにそう説明した。


「そうだよね。今の僕って輪っかも翼も無いもんね」


「なのでソレはお前が使え」


ミカリンなら聖属性でも問題無い

俺が装備しててレベルが上がった瞬間に

悪魔化が開放され突然大ダメージくらうとか

それは避けたい。

そんな俺の思惑に気が付いていないのか

ミカリンはやたら感謝してきた。

なんか

罪悪感が・・・


そこへキャスタリアがサンタクロースよろしく

巨大な布袋を抱えて戻ってきた。


「お待たせしました」


岸辺に広げる。

袋の正体は幌馬車の幌だった。

それに包まれていたのは矢や投げナイフなど

大漁だ。

気を使って苔などは

キャスタリアが予め落としてくれた

錆は自分達でなんとかしよう


「おお、やったー」


中身を確認すると俺は喜んで小躍りした。

その様子を見てキャスタリアも満足気だ。


「それとこれは名を賜ったお礼です。」


そう言ってキャスタリアは動物の胃袋を

材料にした様な水筒を差し出して来た。

お礼は十分だったのだが

今の俺には何でも有難い

礼を言って受け取る。


「入っている水って飲める水?」


「はい。使い切っても時間が経てば戻りますよ」


おお

お馴染みのマジックアイテムだ。

丁度、喉も乾いていたので

飲んでみたが

うん、うまい

始めは恐る恐るだったが体が強烈に要求してきた。

俺はギネスにでも挑戦しているかの如く

ゴクゴクと満足するまで飲んだ。


「ぶるわあああああ」


顎を手首で擦りながら謎の掛け声を発する俺は

水筒をミカリンに渡す。

ミカリンも直ぐに

俺と同じような状態になった。


「ありがとう」


俺は改めてキャスタリアに礼を言った。


「御用の時はまた呼んで下さいね」


キャスタリアはそう言って湖に戻って行った。


鉄は手に入らなかったが

鈴・亜鉛・青銅などは入手出来た。


岩にひたすら擦り付けて

錆を落として様々なアイテムに加工した。


幌を切り刻み服を作る。


ノコギリで倒木や細目の樹木を

切って簡単な丸太小屋を作った。


直ぐに旅を始めなかったのには二つの理由がある。


万が一死亡した場合

またここに戻る可能性があるので

雨風を凌げる最低限のキャンプを

作っておきたかったのと


もう一つが

まぁこっちの理由が主だ。


「うげええええええ」


「あーあ折角作ったメシが・・・。」


初めて食ったモノは

ミカリンの体には大体受け付けなかった。


「なんで同じモノ食べて僕だけこうなるのさー」


上から下から大騒ぎ

鳥の卵の時は

全身に発心と痒みでのたうち回った。


「前にも説明したがな・・・」


受肉は初めてなミカリン。

恐らく本来この年齢なら手に入れていて当たり前の

腸内細菌が居ないのだ。

赤ちゃんと同じ状態の腸内なのだ。


「不便すぎるよぅ」


項垂れるミカリンに戻ったら神に文句を

言っておけと言いながら

今日も俺は掃除とミカリンの看病だ。


こいつの腸内プラグインが揃うまで旅は無理だ。


食い物だけじゃなかった。

免疫だ。

直ぐに高熱を出す。


「ホレ動くな-----はい」


俺はミカリンに回復呪文を掛けてやる。


「んーあー楽になる。ありがとう主様。」


回復呪文のお陰で死亡に至る事は無い

HPが減ると俺が掛けてやるからだ。

俺はパパスかよ。


レベル1の人間状態で唯一使える呪文だった。

始めは一々メニューを開いていたが開かなくても出来た。


面白いのは杖を装備すると効果が上がる。

その時のクラスはソーサラー

ジョブは僧侶に自動に変化する。

装備で左右されるようだ


杖も落ちていた枝ではダメだが

何らかの加工、持つ場所に

布を巻いただけでもOKだった。

加工が凝れば凝る程、効果も上昇が認められた。


金属の装備を着用すると回復呪文は効果が落ちた

特に刃物を装備した時は発動しなかった。

その時は

クラスがファイターで

ジョブは空欄だった。


腰から下げている状態では発動した。

装備でなく所持と判定している様だ。


使いたい魔法やスキルに応じて

戦闘中に持ち替える必要がある。

逆に転職などと言う事を

しなくて良いので便利ではある。


それはそうだ

覚えた呪文を戦士に転職したら

記憶から無くなり

全く忘れてしまう方が不自然だ。


簡単ではあるが我ながら突貫工事にしては

自信作のベッドに横たわり俺を見上げて

重ねてお礼を言ってくるミカリン。


「本当にありがとうアモン」


涙ぐんでいる。

これは何の涙だ。

超越した存在だった大天使から

無力な人間に墜ちた事を嘆いているのか。

敵だった俺に看病されている。

感謝

屈辱

後悔

どれだ

まぁなんでもいいが


「寝てろ。夕飯、捕まえて来る」


良い実験台になっているのは内緒で行こう。


三か月位するとミカリンは

森のモノなら何食っても平気になったようだ。


そんなある日の夜。

俺はミカリンに話した。


「今後の・・・今回の目的なんだが」


目が光るミカリン。

神の指令の実行部隊である天使

やっぱり目標とか目的で

火が付くタイプなのか


「何?何!何ーっ」


すんごい食いつきだ。


「いいかよく聞け」


前回は殆ど

いや全てと言っていいかも知れない。


セオリーから外れていた。


しかし、今回はどうだ

メニューは開く

魔法は使える

アイテムストレージも使用可能だ。

そして何より

開始直後の裸の美少女だ。


イケるんじゃないか?

俺は真顔で言い切った。


「ハーレムを作るぞ。」

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