前のエピソード――『小説　機動戦士ガンダム　水星の魔女』（１）　高島雄哉

『処刑少女の生きる道（バージンロード）８　　──フォールダウン──』　佐藤真登

　世界に災いをもたらすことから現代日本からやってくる異世界人を殺す処刑人の少女メノウと、自分を殺そうとするメノウのことを慕う時間を操る能力を持つ異世界人のアカリ。二人の関係の変化と旅路と、異世界人の暴走で過去に何度か滅びかけたことのある世界の謎をめぐるバトル百合ファンタジーラノベの第八巻。

　前巻から新章が始まり、敵の大将の正体や目的もあかされつつ、旅の仲間が一新されたメノウたちは地下の古代遺跡に向かう。そして古代世界で文明の礎を築いていたっぽい異世界人（現代日本人）の人格を持った人工生命体と遭遇したり、裏世界で暗躍する武器販売組織のボスと大バトルを繰り広げたり、古代から存在するなんだか危険な遺構もぶち壊しますよ、という内容。

　設定モリモリなシリーズでもあるので、人間関係と大まかな設定以外は忘れがちであり、時折既刊分を読み返す必要にかられつつも楽しく読んだ。このシリーズお気に入りのキャラクターであるサハラさんのレベルアップ回でもあり、私としては満足度も高い巻であった。ちょっと癖の強い能力バトルも、八巻も読んでれば大体イメージできるようになってきた。

　今回のゲストの一人でもあった武器販売組織のボスが女性だったら殺伐百合的に完璧だったんだけどな、という個人的に惜しいポイントはあるが、まあその辺はどうでもよい。

　多分このシリーズで一番の人気キャラだろうなと思われる、メノウ大好きな妹分のモモさん（現在訳あって別行動中）がいい感じに感情を拗らせてる様子が次巻へのヒキとなっていた。早めに九巻が出たらいいですね。